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写真集 | TRUCK | 箱館ハイカラ號(39)の台車は成田時代のものから変更 |
白土貞夫様が、『成田市史研究』24号(2000年3月)の中で、 『千葉県下を最初に走った成宗電気軌道の電車』という記事を書かれています。 その記事では「箱館ハイカラ號」に関する記述もあります。そこで書かれているとおり、 箱館ハイカラ號の台車は、成田時代のものではありません。 もともとの台車は、マウンテンギブソン21EM(Mountain and Gibson 21EM) という台車でした。 箱館ハイカラ號の略歴 明治43年(1910)天野工場(後の「日本車輌製造東京支店」)で製作される 明治43年(1910)12月、千葉県成田市(成宗電気軌道株式会社)で運転開始 大正5年(1916)成宗電気軌道株式会社が、成田電気軌道株式会社へ社名変更 大正7年(1918)函館水電株式会社は、成田より5両の車両を購入(36号〜40号) 大正15年(1926)1月20日車庫火災で、37号、40号が焼失 昭和9年(1934)3月21日の函館大火で36号、38号が焼失。39号は無事残る。 昭和12年(1937)39号は客車からササラ式(ブルーム式)除雪車に改造される 平成4年(1992)迄の間、除雪車雪2号(排2号)として活躍 平成5年(1993)路面電車開業80周年、市営交通発足50周年の記念すべき年に 「箱館ハイカラ號」として客車に復元され8月2日より運転を開始 成田から購入した車両は、当初は英国製「マウンテンギブソン21EM」という台車を 使用していました。現在の箱館ハイカラ號の台車は米国製「ブリル21E」という台車を 使用しており、当時のものとは異なります。 昭和39年(1963)当時、除雪車雪2号の台車は、既にブリル21Eに変更されていました。 小熊米雄氏が、鉄道ファンNo.19(1963年1月号)の中で、 『凾館市電の除雪電車 その雪1,2号の来歴について』という記事を書かれています。 その中には、雪2号の台車の写真が掲載されており、小熊氏は「マウンテンギブソン21EM」 であると解説されていますが、残念ながら写真はブリル21Eのもので、小熊氏の見間違えで あると考えられます。ただ逆に考えると、昭和39年当時、既に39号はブリル21E台車をつけており、マウンテンギブソン21EMではなかった(ブリル21Eに変更された後だった)記録を、残してくださったことになります。 |
並べてみると違いがよくわかります。
軸箱には、○にM、○にGのマークがあります。 そして「MOUNTAIN & GIBSON」の文字も刻まれています。 以上から、函館においてもしばらくの間は、マウンテンギブソン21EMの台車が 使われていたことがわかります。 何故交換が行われたのかですが、これは記録が残っていないため不明です。 推測ですが、次のようなことがあったものと考えられます。 ・台車の経年劣化に伴う交換。互換性のあるブリル21Eへ変更した。 ・台車修理の必要性が生じたが、戦時中の物資の不足で修理ができず、 やむなく廃棄し、互換性のあるブリル21Eへ変更した。 台車が交換された時期は特定できません。函館の路面電車が市電に変わったのは、 昭和18年(1943)ですが、市電になる前の時代(函館水電時代、帝国電力時代、 大日本電力時代等)に交換されていた可能性もあります。 昭和39年(1963)よりも前であることは明らかです。 残念ながら、函館にはマウンテンギブソン21EM台車は残っていません。 現存するマウンテンギブソン21EM台車は、次の通りです。 ●阪急正雀工場の能勢電2号カットモデル(阪急レールウェイフェスティバル期間中に公開) ●京都市交通局が保存している広軌I型29号(非公開) 京都市交通局 市電廃止記念乗車券 昭和53年9月30日 京都市電 広軌I型29号 広軌I型29号は、梅小路蒸気機関車館の近くの倉庫に保管されていますが非公開となっています。 台車には、英国製マウンテンギブソン21-EMが使用されています。ブリル21E台車ではなく、また、 N電ではない広軌I型の車両で、とても希少価値の高い車両です。 JR西日本が、京都市に新たな鉄道博物館を建設する方針であることを発表しました。 発表があったのは、2009年2月23日のことです。 2014年〜2015年ごろの開業を目指しているそうです。建設予定地は京都市下京区の 梅小路公園の一角だそうです。広軌I型29号が保管されているそばです。 是非、京都市電の広軌I型29号も、JR西日本の鉄道博物館へ展示していただきたいと思いました。
ご参考 京都市情報館 市電保存館 on WWW http://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000006788.html 47NEWS JR西が京都に新鉄道博物館 2014年度にも http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009022301000618.html その[2]
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