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自社工場製 |
車庫火災で焼失後、自社工場で再生された55号 |
函館で、はじめてボギー車が誕生したのは大正10年(1921年)のことでした。当時、路面電車を運営していた函館水電株式会社は、湯の川線を単線から複線に変えると同時に、ボギー車を走らせることにしました。輸送力の増強を図る目的だったようです。
この車輌の概略設計は、大正9年に函館水電に入社した葛西民也氏(昭和21年より交通局長)が担当し、詳細設計は、白旗技師が担当しました。製作は堺市の梅鉢鉄工所が担当し、先ず最初の2両が大正10年8月5日に就役しました。
車輌は全部で6両で、当初は47〜52号の車番がつけられました。車体は木造でしたが、ケヤキ、サクラ、チーク材等の高級な材料が用いられ、他に例をみない全国に誇れる車輌だったそうです。
大正15年1月20日の新川車庫火災により、48号と52号の2両が焼失します。無事だった47,49,50,51号は改番によって50〜53号になります。焼失した2両は梅鉢鉄工所と函館水電でそれぞれ1両ずつ再生することになり、梅鉢鉄工所で再生したのが54号、函館水電で再生したのが55号となりました。2両が復帰し、もとの6両に戻ったものの、昭和9年(1934年)3月21日の函館大火で6両全てを焼失してしまい、その後は再生されることもありませんでした。
なお、本によっては「旧500型」ということで紹介される場合もありますが、これは昭和23年に登場する500型と寸法がほとんど同じだったことから、500型の設計の基となったという意味で使われているようです。函館大火で焼失した時点の車番は50〜55号であり、500番代の車番に改番されたことを意味するものではありません。
旧500型(車番は不詳。大正12年)
函館市交通局 『市電50年のあゆみ』より−交通局の許可を得て掲載
下記の設計図が葛西氏によるものか、白旗氏によるものかはわかりません。
これは、118号と同様、昭和5年(1930年)に発行された本に掲載されていた図面です。
55号車の設計図(『最新電動客車明細表及型式図集』より)
■55号の主な仕様
車種名称 木造二軸八輪ボギー
電動客車
製造(再生)年 昭和2年5月
最大長 12,827mm
最大高 3,328mm
最大巾 2,184mm
車体 函館水電製
台車 ブリル76E-1
自重 15.241t(トン)
主電動機 GE社製 出力 50HP×2
制動装置 GE社製
制御器 GE社製
車輪直径 787mm
最大運転速度 24.0km/h
表定速度15.2km/h
乗客定員数 79人
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■参考文献
●『最新電動客車明細表及型式図集』
−昭和5年12月20日
社團法人電氣協會關東支部
●『続 函館市史資料集(第1号)』
−昭和46年3月
函館市史編さん事務局
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