昔の設計図
 木造ボギー  京王電気軌道から購入した大正生まれの6両

函館水電株式会社は、昭和11年に300型を新造し輸送力の増強をはかりましたが、函館火災でボギー車6両(旧500型、50〜55号)を全て焼失したため、全て単車の状態でした。

そこで、昭和15年(1940年)、輸送力を増強すべく京王電気軌道株式会社より6両のボギー車を購入しました。これは京王電気軌道の23型で全部で44両が製作されていました。台車には、函館の旧500型と同じくブリル76E-1型が使用されていました。

昭和15年7月16日、函館の路面電車の経営は、合併によって帝国電力株式会社から大日本電力株式会社へ引き継がれました。帝国電力株式会社の会長も、大日本電力株式会社の社長も穴水熊雄氏でした。そして、京王電気軌道株式会社の当時の社長も穴水熊雄氏でした。軌道幅が同じ1372mmでしたが、それだけでなく経営者が同じだったことも導入が決まった要因だったのかもしれません。

戦後もしばらくは活躍していましたが、昭和36年(1961年)から翌年にかけて6両すべてが廃車となりました。中古車で、かつ、木造だったために永くは活躍できなかったようです。

廃車後、405号はしばらくの間、駒場車庫に保存されていましたが、昭和45年(1970年)11月9日に解体され、この時点で400型は全て無くなりました。

 柏木 茂様撮影 駒場車庫の405号(1964年7月3日)−許可を得て掲載


400型の設計図(『電氣車形式図集-路面電車編』より)


■400型の主な仕様
車種名称 木造二軸八輪ボギー
       電動客車
製造初年 大正11年(注1)
最大長 11,735mm(注2)
最大高 3,711mm(注3)
最大巾 2,344mm(注4)
車体 日本車両、枝光鉄工所
    雨宮製作所
台車 ブリル76E-1
自重 14.7t(トン)
主電動機 東洋製TDK-9C
 出力 37.5kW×2
制動装置
 空気ブレーキ、
 電気ブレーキ
制御器
 三菱製KR-8型
車輪直径 787mm
最大運転速度 20.0km/h
乗客定員数 70人
 座席 36人
 立席 34人












 ■参考文献
  ●『電氣車形式図集-路面電車編』
   −昭和27年1月5日
     株式会社電氣車研究会

  ●『私鉄電車プロファイル』
   −昭和45年2月
     機芸出版社

(注1)函館で購入した車輌6両の中で一番古いものは大正11年(1922年)製。京王23型の製作開始は1920年。

(注2)「私鉄電車プロファイル」では11430mmと記載されている。

(注3)「私鉄電車プロファイル」では3443mmと記載されている。

(注4)「私鉄電車プロファイル」では2210mmと記載されている。


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