保存車両[19]
写真集 東京都電  大切な文化財

   日本の旅・鉄道見聞録 (http://www.uraken.net/rail/index.html/)撮影:裏辺金好様


 「PCCカー」(5501号)は、1954年(昭和29年)に完成し5月17日に公開されました。
アメリカの会社に特許使用料を支払って作られた電車です。
「PCCカー」とは「President's Conference Committee」の略で、「社長委員会」の意味になります。つまり、「アメリカのいくつかの鉄道会社の社長が集まって、台頭してきた自動車に対抗すべく技術を結集して作られた」といった意味が込められています。

5500形は5507号まで作られましたが、PCCカーとよべるのはこの5501号だけです。
5502号〜5507号は、PCCカーの長所を取り入れつつも日本独自の研究技術によって作られており、外見はそっくりですが、構造は異なっていました。例えば、コントローラをはじめ、制御が全て足踏み式なのは5501号だけです。5502号以降は従来どおりの手で操作する方式です。実は、純国産の5502号は1953年11月16日に芝浦−銀座間の試運転を開始しており、5501号よりも先に完成していました。

・5501号の足での操作は運転手に不評だった為、1960年に手で操作する方式に改造され
 ました。
・5501号の台車はFS-501、5502号はD-19、5503号〜5507号はFS-353が使用されました。
・5503号〜5507号は1955年(昭和30年)に作られましたが、正面窓のサンを5502号より細く
 したり、種々の改良が加えられました。

引退後は上野公園にある不忍池のほとりに保存されていましたが、損傷が進んだので、1990年6月に荒川車庫へ移設されました。その後、荒川車庫内の片隅にひっそりと置かれ、倉庫代わりに使用される状態が続きました。


かつて、車体の側面に貼られた展示用の説明書プレートより引用

     この電車はP.C.C(President's Conference Committee)カーといわれ
     路面電車としては最高の性能(高速、防音、防振、暖房および換
     気装置)をそなえた最優秀車です。都交通局はこの理想的車両を1
     両試作し、5501号車としましたが、これが最初で最後の車両にな
     りました。この電車は三田電車営業所(昭和42年12月廃所)に
     属し1系統(品川ー上野駅)を昭和29年5月から42年12月
     9日まで13年間たゆまず走りつづけました。優秀車でありながら
     最初に勇退しなければならなかった理由は、全長がながく、カーブ
     に弱いため、銀座線しか走らすことが出来なかったためです。かつ
     ては首都交通の主役として活躍した都電も、昭和46年にはその姿
     を消すこととなります。

     明治以来チンチン電車として都民に愛されて来た都電 その代
     表としてのP.C.Cカーを路面電車発生の地で余生を静かにおくら
     せてやってください、末ながく保存し交通発達史の1ページにと
     どめておきたいと思います。全長 14m3 全高 3m422
                      全巾 2m44 自重 16.5t


   日本の旅・鉄道見聞録 (http://www.uraken.net/rail/index.html/)撮影:裏辺金好様

都電7504号は、1962年(昭和37年)に日本車輌製造で製作されました。
1984年(昭和59年)以降、他の7500形は車体更新が施され同時に冷房装置の設置も行われましたが、7502、7504、7508号の3両は車体更新されずに製造当時の姿で残りました。その後、7502号と7508号は廃車になりましたが、7504号は存続し主に朝のラッシュ時の通学輸送に使用されました。そのため「学園号」という愛称がつけられたのです。

2001年(平成13年)に廃車となった後は、5501号と同様に荒川車庫の片隅に置かれ、倉庫代わりに使用されてきましたが、2006年(平成18年)に都職員の有志の方々によって整備が行われ美しい姿を取り戻しました。













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東京都電5501号,7504号−東京都荒川区:都電おもいで広場(荒川電車営業所)
   東京都荒川区西尾久8-33-7
   交 通:都電荒川線『荒川車庫前』下車

  公開日時:土・日・祝日の10時〜16時

2007年(平成19年)5月26日『都電おもいで広場』がオープンしました。5501号と7504号の2両が静態保存されています。

写真の撮影時点では屋根がありませんでしたが、現在では2両共に屋根が設置されたうえで大切に保存されています。

荒川車庫の片隅で倉庫代わりに使用されきた5501号と7504号ですが、関係者の方々のご尽力によって美しい姿を取り戻し保存されることになったのは、誠に喜ばしい限りです。『都電おもいで広場』は、荒川車庫のすぐお隣にあります。末永く大切に保存していただけるものと思います。


 参考HP
 ・東京都交通局

 ・都電7504号車保存会

 ・ウィキペディア−東京都交通局5500形電車

 ・ウィキベディア−東京都交通局7500形電車

 ・ウィキベディア−東京都交通局7000形電車

 ・ウィキベディア−東京都交通局9000形電車

 ・はこだての路面電車−写真館−都電荒川車庫
(2008年10月10日掲載)


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