昔の車両のご紹介
  706型  706(518号の車体更新車)

函館駅前付近の706号(1974年4月4日) tekkenさん撮影(許諾を得て掲載)


500型の518号は、1964年(昭和39年)1月10日に廃車となりましたが、台車と電動機系統は再利用されることになりました。
同年6月、518号の台車と電動機系統を流用し、株式会社新潟鉄工所で製作されたのが706号です。
車体は、当時製作されていた800型と同じものが使われました。
車体は800型、台車は500型という特殊な姿をしており、706といっても外見は701〜705と全く異なる車両でした。定員も710型や800型と同様90名でした。




518号の台車や電動機系統はそのままということですので、番号こそ706号でしたが「改700型」というよりも「改500型」というほうがピッタリなのかもしれません。518号が車体部分を更新したような感じですね。

従来は「改700型」としてご紹介いたしましたが、700型を改造したような誤解を招く呼び方なので「706型」と改めました。(2003年8月17日)

そう考えると、昔の100型の中の「自社再生車」は「改10型」といってもいいのかもしれませんし、現在の8000型は「改800型」といえるのかもしれません。



1969年(昭和44年)10月、灯油燃焼式の車内暖房の試験車となり、好結果が得られた為、他の車両でも同様の暖房設備がつけられることになりました。それまでは、函館の市電には暖房設備がありませんでした。旧500型の時も、実験段階で終わり、関東大震災の影響で装備の実現は、していませんでした。

函館どっく付近の706号(1978年8月26日) 多田様撮影(許諾を得て掲載)


函館市電の暖房設備設置に貢献した706号でしたが、1979年(昭和54年)3月末で524、714、1004号と共に惜しくも廃車となりました。

もともと800型の車体は、間接非自動式制御での運転に合わせて製造された車体です。しかし、500型は直接制御方式の為、大きなコントローラーが運転席に取り付けられており、800型と同じ車体に更新した結果、運転席が大変手狭になってしまったそうです。運転士には不評な車輌だった為、廃車が早かったようです。




「500型の車体更新のモデルケースの先がけ」だったようにも思えます。「車体更新の試作車」的な意味もあったようですが、15年弱の短命に終ってしまいました。廃車になってしまったのが残念です。
(2001年10月27日 / 11月14日写真掲載)
(2003年7月21日一部追記・修正)
(2003年8月15日/9月13日写真追加掲載)


『函館駅前付近の706号(1974年4月4日)』の写真につきましては、
tekkenさんのご好意により掲載させていただきました。
この写真の著作権は、tekkenさんがお持ちになっています。
tekkenさんは、1970年代当時の貴重な鉄道車両の写真をたくさん撮影され、これをホームページで公開していらっしゃいます。どれも現在では、撮影できない貴重な写真ばかりです。
当時を知る方にとっては大変懐かしく、知らない世代の方には大変貴重な文献になると思います。
70's Railways
貴重な資料を公開してくださり、そして706号の写真の使用許可をくださった
tekkenさんに改めて御礼申し上げます。
ありがとうございます。(2003年8月15日)



『函館駅前付近の706号(1975年3月)』の写真につきましては、
二村様のご好意により掲載させていただきました。
この写真の著作権は二村高史様がお持ちになっています。

二村様は、1970年代の路面電車をはじめ、イタリア滞在時の珍しい写真等もホームページで公開していらっしゃいます。

また、『がんばれ路面電車』(山海堂)という本を出版され、本の中で路面電車を詳しくわかりやすく説明されています。
「がんばれ!女性運転士」「路面電車にも貨車があったって本当?」など、どこからでも気軽に読める話題が満載です。ご一読をお勧めいたします。
貴重な資料を公開してくださり、そして706号の写真の使用許可をくださった
二村様に改めて御礼申し上げます。 ありがとうございます。(2003年9月13日)

『駒場車庫の706号(1978年8月26日)』及び『函館どっく付近の706号(1978年8月26日)』の2枚の写真につきましては、
多田様のご好意により掲載させていただきました。
この写真の著作権は多田 真也太様がお持ちになっています。
貴重な706号の写真を撮影のうえ、2枚とも使用許可をくださり大変感謝申し上げます。

多田様は、全国各地の懐かしい蒸気機関車や路面電車の写真をホームページで公開していらっしゃいます。

貴重な資料を公開してくださり、そして706号の写真の使用許可をくださった 多田様に改めて御礼申し上げます。 ありがとうございます。(2003年9月13日)

『十字街電停付近の706号』の写真の掲載につきましては、
吉川文夫様のご好意により掲載させていただきました。
この写真の著作権は、吉川様がお持ちになっています。
吉川様は、鉄道関係の本をたくさんお書きになっています。私からは、 個人的に、特に次の2冊をお勧めしたいと思います。

■東京 電車のある風景 今昔T(JTB)
国鉄、私鉄、都電、地下鉄とたくさんの車両が登場します。
昭和30年〜40年代の当時の車両と懐かしい風景...
そして、その場所が今現在はどんなふうに変わったかが対比して掲載されています。東京がとても変わったことがよく実感できます。

■路面電車時代(大正出版)
全国各地の懐かしい路面電車が登場。現役路線も、廃止で現存しない路線の貴重な写真も掲載されています。函館市電も紹介されています。
函館市電のページだけでも、11、105、215、307、402、506、517、604、701、720、809、1004、1008と多数の形式の車両が掲載されています。元東京都電7000型の1004号が東京都電当時のそのままの姿で写っていて驚きです。

706号の貴重な写真の掲載を許可くださった
吉川様にあらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。 前のページへ戻る

(追記)
吉川文夫様は、平成19年8月11日にお亡くなりになりました。
数々の鉄道写真や著書などを残され、その多大なる社会貢献度は計り知れません。心からご冥福をお祈りいたします。
 

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