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            | 1987年2月 | (2)ラッセル車誕生50年 |  
           | 藤森久美子様より貴重なパズルを譲っていただきました。
 函館市交通局が1987年(昭和62年)2月に発行した乗車券付きのパズルです。当時の乗車券170円券が5枚付いています。
 
 パズルの実物の大きさは256mm×182mmです。最初、このパズルを拝見したとき、思っていたよりも大きいサイズでしたのでちょっと驚いてしまいました。
 このパズルで使われているラッセル車(除雪車)は雪2号で、現在は「箱館ハイカラ號」(39号)として客車へ復元されています。
 
 
 
              
| 裏面の解説部分には、次のように書かれています。 
 ラッセル車の雪はねブラシ(ロータリーブルーム)
 上の写真は、ラッセル車の雪をはねるブラシの部分です、このブラシは、孟宗竹を細く割って束ねたササラからなっており、ササラは水車のように8段で、軸にとりつけられております。この軸を回転させて、竹のしのりを利用し、線路に積もった雪をはね飛ばします。
 ササラは、車輌の前後に各430束とりつけられております。1シーズン中に2〜3回、すり減ったササラを交換します。
 
 市電ラッセル車運転室内
 ラッセル車には、ラッセル車を動かす運転士1名と、ブラシを回転させる機械を操作する機関士1名が乗車しています。
 
 ラッセル車の仕様(主な部分)
 車種名称 木造四輪ブルーム式電動除雪車
 製造(改造)年 昭和12年(1937年)
 最大長 8,700mm
 最大高 3,960mm
 最大巾 2,344mm
 車体 東京市電気局浜松工場製 (注1)
 台車 (アメリカ)ブリル社製 (注2)
 自重 10.39t(トン)
 主電動機
 種類 半密閉式直流直巻電動機(形式:鳥羽MT-60)
 出力 37.3KW
 電圧 DC600V
 個数 2個
 制動装置 元空気溜管式 エアーブレーキSM-3型(昭和47年、主導ブレーキから変更)
 制御器
 方式 直並列抵抗直接制御
 回路電圧 600V(ボルト)
 車輪直径 790mm
 
 ブルーム運転用電動機
 種類 半密閉式直流直巻電動機
 出力 18.7KW
 電圧 DC600V
 個数 1個
 
 (注1)正しくは、天野工場(現在の日本車輌製造株式会社)製です。浜松工場は東京市電から購入している雪4号が大正時代に車体更新を受けた場所です。ちなみに雪3号は同じく東京市電からの購入ですが、車体更新は梅鉢鉄工所(現在の東急車輛株式会社)で行っています。
 
 (注2)大正七年に成田電気軌道(千葉県成田市)から購入した当時は、アメリカのブリル社製ではなく、イギリスのマウンテンギブソン社製の台車(MG21-EM型)でした。
 
 同封されている乗車券の右側の解説には、公会堂とラッセル車のことが書かれています。長いのでラッセル車の部分だけご紹介いたします。
 
 ”明治が薫る公会堂と冬の風物詩 市電ラッセル車"について
 この公会堂の前下にある基坂の下を市電が走っています。しばれる冬の日も市電は函館市民や観光客の主要な足として走ります。
 雪の日にも市電が正常に運行するために、なくてはならないのがラッセル車(正式名称は、木造四輪ブルーム式電動除雪車といい、ササラ式除雪電車ともよばれている)で、現在6両あります。
 このパズルの絵にある「ラッセル2号車」は、千葉県成田市の私鉄から大正7年(1918年)に、市電の前身「函館水電株式会社」が購入した定員42人乗りの客車(座席18人、立席24人)5両のうちの1両で、昭和12年(1937年)ラッセル車として改造されたものです。ラッセル車として生まれ変わったとき、運転席や台車の一部が改造されましたが、50年(客車として誕生後70余年)たった現在でも、往時の姿がまだはっきり残っているといわれています。
 この「2号車」は、他の5両の仲間とともに、雪の日にはブルン、ブル・ブルーンと力強いうなり声をひびかせ、車体の前部にとりつけたササラを回転させて、雪をはね飛ばし元気に走り続けております。
 
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 現在残っている除雪車は、大正時代に車体部分が更新され、昭和に入ってから除雪車に改造されたわけですが、元々は明治生まれの客車でした。その貴重な文化財・産業遺産も、現在では雪3号と4号の2両だけになってしまいました。この2両は成田市ではなく東京市電から購入したもので、1935年(昭和10年)6月から函館で就役しています。
 
 貴重なパズルをお譲りくださった藤森様に感謝いたします。ありがとうございます。
 
 
      市電グッズ 
  (2003年5月31掲載) 
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