定点写真
新旧対比  (10)大門通り

『大門通の美観』THE MAIN STREET. HAKODATE(昭和20年代後半〜30年代前半)

大門通り (2003年8月4日撮影)

上の絵葉書は、ちょっとわかりにくいですが松風町電停付近に523号が写っています。向かって道路の右側には「拓銀ビル」、左側には「パチンコ オーシャン」、正面には「公劇(KOGEKI)」と書かれた看板もみえます。
523号ですが、現在の500型と塗装色が違いますね。クリーム色と茶色の塗装です。300型と400型が写っている同年代の別な絵葉書もあるのですが、同じ塗装色になっています。当時の函館市電はみなこのような塗装色だったようです。右側の白い部分には「大門通の美観 近代的建築の商社櫛比して道内第二の大都会にふさわしい。」と書かれています。櫛比(しっぴ...隙間なくぎっしり並んださま)という難しい言葉は最近ではあまり使われないと思いますが。

この絵葉書には発行年度が書かれていません。反対側の切手貼付部分には「FUKUDA CARD」というメーカー名と、ペガサスの絵が描かれています。
交通局にお勤めの江守様にみていただいたのですが、「昭和20年代後半から30年代前半の絵葉書ではないか」とのお話でした。江守様が交通局に入社をされた昭和36年(1961年)の時点では、既に塗装は上部が茶色で下が紺色(現在の529号の色)だったそうです。521〜530号の認可は昭和26年3月6日付になっています。523号の製造は昭和25年5月ですが、就役は25年後期若しくは26年のはじめの頃だと思われますので、昭和20年代後半〜30年代前半というのは妥当だと思います。仮に昭和34年(1959年)と仮定すると、この記事を書いている今から44年前になります。

下の写真は、横断歩道を青信号で歩行中に撮影したものです。遠くに8003号、手前に8004号が写っています。本当は、絵葉書のように、右側の軌道内から撮影したかったのですが、こちらに向かってくる8004号が怖くて左側の軌道から写しました(汗。横断歩道とはいえ、前方にカメラを持って立ちはだかる人間がいては、運転士さんにもご迷惑でしょうし。
絵葉書の当時とは異なり、松風町の電停は移動されています。現在では、信号を左折したところに電停があります。拓銀のビルも、パチンコ店も、公劇の看板も既にありません。時代の流れを感じさせますね。
地元の田澤様にお願いしていた定点撮影ですが、自分でやってみると、太陽の位置や建物から撮影地点の確認等など、いかに大変な作業か身にしみて感じられた次第です(汗。
 
 
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 (2003年8月11日掲載)

 

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