昔の車両のご紹介
300型   301〜315

1936年(昭和11年)自社設計(当時の帝国電力株式会社)による電車製作を計画し、函館どっく株式会社で15両製作されました。 戦後まで200型とともに、主力車両として活躍しました。道産車としては初めての車両でした。
神戸で活躍していた路面電車の400型が、モデルだとも言われています。
台車は住友HK20Lを使用、電気系統も全て国産の部品が使用されています。
10型や100型の定員は42名でしたが、300型の定員は56名になりました。
木造より強固な半鋼鉄製で社窓も広く車内が明るいことから、「鋼鉄車」の愛称で親しまれました。

小熊米雄氏撮影の305号−『鉄道ピクトリアルNo.32』より


和久田康雄様撮影 306号(1954年7月23日)−許可を得て掲載

万が一、先頭のストライカ(排障器)に人などがぶつかった場合、ストライカが内側に跳ね上がって、後方へ伸びたロッドで車輪手前(ドアの下あたり)にあるフェンダ(救助網)を下ろして、車輪への巻き込みを防ぎます。和久田様が撮影の306号の写真を見ると、ストライカとフェンダの様子がよくわかります。
最近の電車は、 ストライカを固定してガードしていますので、フェンダを省略しています。

      
柏木 茂様撮影 駒場車庫の307、715、312号(1964年7月3日)−許可を得て掲載


1970年(昭和45年)、東京都より7000型10両を購入後、予備車となり、同年5月20日で302,303,308〜310,312,314号の7両が廃車となりました。
312号を除き、11月10日より梁川車庫において解体されました。
312号は梁川町の公園に置かれましたが、屋外展示で屋根も無く、風雨にさらされ車内も荒らされてしまい、後に撤去のうえ解体されてしまいました。

残った301,305,306,307,304,311,313,315の8両は車体番号の整理・改番が行われ、301〜308へ改められました。
1971年(昭和46年)4月10日、302〜307号により、さよなら運転が行われました。

その後、305(旧304号),306(旧311号),308(旧315号)も、先年に廃車の7両の後を追って廃車となりました。(2008.11.2削除)

車番変更については「300型の車番変更」の記事を参照してください。(2008.11.2追記)

302(旧305号),303(旧306号),304(旧307号)の3両は、装飾車(花電車)として残され現在に至っています。ただし、車体部分の多くが外されて台車部分と電気系統、電動機系統のみが残された状態です。

301号は、しばらくの間、駒場車庫内に保存されていましたが、惜しくも解体されてしまいました。

307(旧313号)313号ですが、廃車で解体される運命の寸前に札幌へ寄贈されて生き残りました。1972年(昭和47年)6月29日、札幌の北海道開拓記念館で展示の為、札幌へ第二の余生をおくるべく旅立ちました。
この車両は旧番の313号として、しばらくの間、展示されていました。しかし、現在は展示されていません。屋外でテントをかけられて、非公開の状態です。
これは、屋外展示の関係で、損傷(主に窓ガラスがほぼ全滅)することが続いた為です。本当は、例えば、札幌市交通資料館のような場所で屋内展示をしていただけるとよいのですが、函館市電の車両を札幌市の交通資料館で展示していただくのは難しいのかもしれません。残念ながら、函館市には、交通資料館、交通博物館等が無く、屋内展示できる設備がありません。

私は、北海道開拓記念館の関係者の皆様に感謝いたしております。北海道開拓記念館が、もし、昭和47年当時、引き取ってくださらなければ、今ごろ307(旧313号)は解体されて存在していませんでした。非公開な状態であることは、残念ではありますが、安易に屋外で展示して、その結果損傷し、梁川町公園の312号と同じ結果になることは、もっと残念なことです。
いつか、どこかの施設で屋内展示がなされて、本当の意味での余生をおくって欲しいと願っています。
純国産部品を結集し、函館どっく株式会社で製造された初めての道産車15両で、車体部分も残している生き残りは、この1両だけなのです。


田澤様からの情報によれば、身障者の方用にトイレ設置をする為、展示場所を移動したところ、移動先の立地条件がよくなかったのか、損傷(主に窓ガラスがほぼ全滅)が続き、やむを得ず公開中止に至ったようです。修理費や屋内展示の為には、およそ1,000万円程度の費用がかかる為、現時点では公開は難しい模様です。
また、当初「買取」と記述いたしましたが、正しくは「寄贈」でした。お詫びして、訂正いたします。大変失礼いたしました(汗。
前のページへ戻る
(2001年10月27日/12月7日追記・訂正)
(2002年1月6日、12日写真追加掲載)


 306号の写真につきましては、和久田康雄様のご好意により掲載させていただきました。和久田様は、鉄道関係の記事を多数執筆されており、
函館市電の歴史を調べる際も、多くの点で大変参考になりました。
許可をくださった和久田様に御礼申し上げます。
ありがとうございます(2002年1月6日)。

307、715、312号の写真の掲載につきましては、柏木 茂様のご好意により掲載させていただきました。
300型と710型が一緒に写っている大変貴重な写真です。柏木様からは、
他にも多数、貴重な写真の掲載許可を頂戴し、「写真館」内の
『1 柏木様写真館』のコーナーでご紹介しています。
許可をくださった柏木様に御礼申し上げます。
ありがとうございます(2002年1月12日)。


トップページ
乗車料金と所要時間
函館市電の歴史
昔の車両のご紹介
車両のご紹介
営業路線のご案内
資料・情報館
写真館
リンクのコーナー
写真の著作権
コンテンツ一覧