他の山と何が違うの?


標高が高い、日本一ですからね。
って、ここではそういうお話ではありません、、、(^^;)。
何故、登山経験が無くても登れるのか。
富士登山だけの難しさとは、いったい何なのか。
そういった、お話です。


《Part2》 他の山の登山との違い
   
■ すぐお隣に山がない、独立峰の富士山...迷子になりません

富士山に隣接した山はありません。
小富士とか、宝永山は除きますが、他の山とくっついていません。
孤独な富士山、、、、なわけはないですが(^^;)。
(ちなみに、1707年11月23日の富士山の大噴火で
宝永山が生まれたそうです。)

ですから、他の山に迷い込むということが、ありません。
いつのまにか、違う山の山頂を目指していたということが無いのです。
他の山では、方位磁石と地図は必須アイテムになります。
先日登った、棒ノ折山では、これらのアイテムは必要でした。
でも、富士山では、不要です。
季節外れに単独で登らない限り、迷子になることはありません。
下山道の分岐点で、道を間違えると、山梨県のつもりが、
あれれ、静岡県にでてしまった、なんてことはあるんですが(^^;)、、、。
国土地理院の精密な地図までは不要という意味です。

それから、寝袋とか、テントも要らないですね。
宿泊施設は山小屋があります。
山小屋を利用せず、日中登山して、日帰りも可能です。

■重要な防寒対策(保温対策)

頂上へ向かうほど、寒くなります。防寒対策は重要です。
地上が30度の温度でも、頂上は6度しかなかったりします。
夏に登山しても、頂上は冬の寒さです。
これが、他の山とは違う点です。
厚手のセーターやレインスーツは必須アイテムなのです。
日中の登山を除き、御来光をみたりするなら、朝はとても冷えます。
ですからレインスーツは雨が降らなくても、保温の為に着ます。
7合目あたりまでは、他の山と同じ登山の服装で大丈夫です。
そこから上は、防寒対策が必要です。

■さらに重要な高山病対策(予防)...ゆっくり登山が大切

一般に標高2500mあたりから、高山病に対する注意が必要になります。
個人差がありますので、2500mちょうどではありません。もっと低い高度で
その兆候が出始める方もいらっしゃいます。
高山病についての詳細は、「高山病対策」のコーナーを参照してください。

他の山では、健脚でとても元気な方が、富士登山の途中で、
頂上を断念してしまったりするのは、急性高山病が原因です。
小学生の方、私のような肥満傾向の方、お年寄りが頂上まで登れるのは、
ゆっくり登るからです。脚力、体力にまかせてどんどん登る人は、危険です。
酸素の補給が追いつかなくなるからです。
知らないうちに、酸欠状態で高山病です。これは恐いです。
体をゆっくりと高地に順応させてあげないと、いけません。
これが富士登山の難しいところです。
一般の山なら、健脚な人は、どんどん休まずに登っても平気です。
でも、一般の山で通用することが、富士山では通用しないのです。

登山経験は無くても、足腰が丈夫で、ゆっくり登れる人なら大丈夫なんです。
私も、これといった登山経験無しで、富士山に登りました。
無意識ではなくて、意識的に呼吸をして、
体に酸素をたくさん取り入れるようにします。

富士山では、一般の山とは違う、こういった特殊性があるので
一般の山の登山経験は、特に無くてもいいのです。

ウサギのカメの競争ではありませんが、
他の山ではとてもウサギさんに勝てないカメさんですが、
富士山では、先をあせったウサギさんは高山病にかかってしまい、
のろまなカメさん【私のような肥満な人(^^;)?】が勝ってしまうというね。

正確に言えば、高山病対策が必要なのは富士山だけではありません。
日本で2番目に高い南アルプスの北岳(3192m)、
3番目の北アルプスの穂高岳(3190m)をはじめ、
富山県の大日岳(2501m)迄、日本には標高2500mを越える山が
165もあります。
長野県にある標高2496mの中山は大丈夫かといえば、
前にも書きましたように、個人差がありますので、何とも言えません(^^;)。
2500mは絶対ではなくて、一般的な目安ですから...。
標高2500m付近から、特にゆっくり、かつ、休みながら登る必要があるのです。

ただ、機会のある毎に、一般の山に登ることは、とてもいい事です。
足腰を鍛える意味でも、山に慣れる意味でもですね。
そして、富士登山に備えて訓練する意味でも、いいことです。
厳密に言えば、 酸素濃度が薄い世界、気圧の低い世界、気温の低い世界とは
異なるので足腰の訓練的な要素が高くなりますね。
富士登山の本格的な練習とすれば、2500mを越える山になると思います。
「酸素の薄さに慣れる」、「気圧の低さに慣れる」、「気温の低さに慣れる」
ということですね。
でも、普段からそういった高い山に登る機会は、なかなか作れないと思います。

そんなわけで、普段は機会があれば、一般の山で足腰を鍛えておいて、
富士登山のときは
・一般の山よりペースを落とす
・呼吸に気を配る
・休みをたくさんとりながら登る

ようにするのがいいと思います。

先日、棒ノ折山に行ったときのお話です。
下山の際、あるご家族が、ご主人だけ、さっさと先に行って
奥さんやお子さんを置いてきぼり...みたいな光景を見たのです。
「せっかく家族で来た意味ないジャン!ずいぶん冷たい....」
と思ったりしたのですが、同時に
「もし、これを、富士山の登りでやったなら、ご主人は高山病でギブアップ、
無事山頂へ行けるのは、奥さんとお子さんだけだな...。」
などと、思ったりしたのでした(^^;)。


え?「毎年行われている富士山を駆け登るマラソン」ですか?
「富士登山競走」は走行距離21km、標高差は3006mという
とんでもない世界です。歩かないで走るなんて(^^;)、、、。
あの参加者の皆様方は、普段から2500m以上の高地で鍛えているから、
急激な酸素濃度や気温の変化に十分耐えられるのです。
そういう訓練を、普段からするのは難しいと思います。
ですから、真似しないでくださいね(^^;)...。

                      (1999年11月24日。26日一部追記)





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