[見識者の意見]
■原子力に反対する100 個の十分な理由


ドイツ EWS シェーナウ電力会社代表、ウアズラ・スラーデク氏(Ursula Sladek)が、「原子力に反対する100個の十分な理由」の日本語版を、日本のためにご提供くださいました。

この情報はnanohana 地球と7代先のこどもたちを元気にしてゆく情報発信サイトに掲載されています。詳細については、下記のサイトを参照してください。

原子力に反対する100 個の十分な理由
地域の電力を自給自足するためのドイツの市民による電力会社
シェーナウ代表 ウアズラ・スラーデク



もともとは、ドイツ国内向けなので、わかりにくい部分もあるかもしれません。
実際には、さらに追加があって100個ではなく117個あります。

項目だけご紹介すると次のとおりです。


原子力に反対する100個の十分な理由

#1〜#11 燃料とウラン採掘
#12〜#19+#102 安全基準と健康被害
#20〜#41+#103〜#107 事故と大災害のリスク
#42〜#65+#108〜#113 核廃棄物と処分
#66〜#71+#114      気候保護と電力供給
#72〜#79        権力と利権
#80〜#87+#115      自由と民主主義
#88〜#93+#116     戦争と平和
#94〜#100      エネルギー革命と未来
そして#101       あなたの意見は正しい!


#1〜#11 燃料とウラン採掘
#1 依存 すべてのウランは輸入されなければならない。
#2 強制移住 ウラン産出は数多くの人びとの生活基盤を破壊する。
#3 水の浪費 ウラン採掘は貴重な飲料水を奪う。
#4 放射能の汚泥湖    ウラン鉱山業からの強毒性の汚泥は、住民と環境を脅かす。
#5 鉱山による癌  ウラン鉱山業は癌を引き起こす。
#6 死の大地    ウラン採掘は死の大地を生み出す。
#7 高価な汚泥  ウラン採掘跡地の汚染処理には数億ユーロの費用を必要とする――そもそも、それが可能であればの話だが。
#8 ウランの欠乏  ウラン鉱山はすでに20 年来、原子力発電所の需要を満たせていない。
#9 埋蔵量の限界 ウラン埋蔵量は、わずか数十年のうちに枯渇する。
#10 ウランの輸送 六フッ化ウランが絡む事故は破局的な大惨事を招きかねない。
#11 プルトニウムの輸送 核燃料棒の製造のために毎年何トンもの純粋な、兵器になりうるプルトニウムがヨーロッパの道路を走りまわっている。。


#12〜#19+#102 安全基準と健康被害
#12 癌の危険性 原子力発電所は子供だけを病気にするわけではない。
#13 汚染物質の排出 原子力発電所は大気へ、水中へと放射性物質を排出している。
#14 欠陥ある安全基準 放射線防護の安全基準は放射線による被害を甘んじて受け入れている。
#15 低線量の放射線  低線量の放射線被爆は、公的な想定よりも危険だ。
#16 トリチウム 原子力発電所からの放射性廃棄物は、DNA にまで組み込まれる。
#17 河川の高温化 原子力発電所からの温排水は魚から酸素を奪う。
#18 放射能の汚れ仕事 原子力発電所では何千人もの非正規労働者が汚れ仕事を処理している――多くの場合、放射線防護の安全措置が十分でないまま。
#19 自己防衛  原子力発電所を運営する電力コンツェルンの上層部のエリートは、私生活において自身は原発から大きく離されたところで生活している。
#102 チェルノブイリ チェルノブイリの原子炉事故は数え切れないほど多くの人びとの生活を破壊した。


#20〜#41+#103〜#107   事故と大災害のリスク
#20 安全性の欠陥 ドイツにある17 基の原子力発電所のうち1 つとして、今日では営業許可を得られない。
#21 老朽化のリスク 原子力発電所を使えば使うほど、事故の危険性は増大する。
#22 報告義務ある
事故・故障
3 日に1 度はドイツの原子力発電所のどこかで、「安全性にかかわる」事故・故障が発生している。
#23 スペア不足 原子力発電所での修理作業においては、簡単に新たなミスが発生する。
#24 石器時代の技術 30 年前の技術とは一言で言うと、廃棄するにふさわしい。
#25 地震の危険性 原子力発電所は十分に地震対策がなされていない。
#26 航空機墜落 原子力発電所は航空機の墜落に対して守られていない。
#27 すでに倒れゆく
新型原子炉
新型の原子炉でさえ、安全でない。
#28 保険 車50 台分の保険の補償額のほうが、1 基の原子力発電所の保険よりも手厚い。
#29 破局的な大災害 破局的な大災害は、今日にでも起こりうる。
#30 安全性ランキング ドイツの原子力発電所の安全性は、あろうことか国際比較で低い。
#31 悪天候 単に嵐が来ただけで事故の危険性が高まる。
#32 金の亡者 原子力発電所において迷ったときの判断基準は――安全より利益優先――それが爆発事故の後であっても。
#33 人為的なミスのリスク 人間はミスをする――それは原子力発電所では致命的となる。
#34 ホウ酸 原子力発電所を稼動する複数の事業者は、長年にわたって組織的に稼動の際の法令規定を無視している。
#35 スパゲッティ配線 原子力発電所における電気系統のトラブルは日常事であり、それは深刻な結末を伴う可能性もある。
#36 チェルノブイリより
悪い事態
ドイツの原子力発電所で破局的な大災害が発生すると、それはチェルノブイリ事故よりも大きな被害が出る。
#37 数百万人もの癌発症 ドイツの原子力発電所における破局的な大災害発生の際には、数百万もの人びとが著しい健康被害を覚悟しなければならない。
#38 故郷の喪失 破局的な大災害の際には、数千km2 の区域に永続的に人が住めなくなる。
#39 避難 ある地域全域の数時間以内での避難は不可能である。
#40 ヨウ素剤不足 ヨウ素剤を入手するために外出しなければならないのであれば、それは役に立たない。
#41 経済の崩壊 破局的な大災害は、国民経済の崩壊を招く。
#103 原子炉内のフェルト 剥離した断熱材が原子炉の冷却配管を塞ぐ。
#104 貝と葉 ほんの少しの植物片でさえ、原子炉のメルトダウンの原因になる。
#105 現場での
手抜き工事
フィンランドの原発工事現場では、(工事中の地盤没落大事故のあった)ケルン地下鉄の工事現場よりもひどい状態が続いている。
#106 非常な勢いで
増加する亀裂
原子力発電所の重要な配管に、誰一人気づくことなく亀裂が走る。
#107 安全追加対策 キリスト教民主同盟(CDU 党、保守大政党)でさえ、内部では古い原発の安全追加対策は、解決不可能であることを認めている。


#42〜#65+#108〜#113 核廃棄物と処分
#42 核廃棄物の山 原子力は大量の核廃棄物を生み出す。
#43 処分という嘘 これまで核廃棄物はただの1g として無害に処分されていない。
#44 技術面の未解決問題 高レベル放射性廃棄物の最終処分は、技術面ですら解決されていない。
#45 百万年 核廃棄物とは百万年にわたる放射線危害である。
#46 放射性廃棄物処分場アッセII 放射性廃棄物の試験処分場アッセは、20 年と経たないうちに水没しようとしている。
#47 最終処分場はない 世界を探してもこれまでに、安全な高レベル放射性廃棄物の最終処分場は1つと存在しない。
#48 聖フロリアヌスの原理 (訳注:問題を他所に押し付ける行動様式、政治的手法)

誰1人として核廃棄物を歓迎しない。
#49 キャスクの嘘 核廃棄物の容器は十分に検査されていない。
#50 再処理工場の嘘
(その1)
いわゆる使用済み燃料からの再処理は、核廃棄物からより多くの核廃棄物を作り出す。
#51 海岸線の核廃棄物 再処理工場は、放射性物質の拡散装置である。
#52 再処理工場の嘘
(その2)
フランスとイギリスの再処理工場には、いまだにドイツからの膨大な量の核廃棄物が保管されている。
#53 モアスレーベンの核廃棄物の山 旧西ドイツの原子力コンツェルンは、核廃棄物を旧東ドイツのモアスレーベンの処分場に平然と廃棄した。
#54 コンラート坑道の核廃棄物の山 ザルツギッター市の真下に865kg のプルトニウムが処分される予定。
#55 中間貯蔵施設 高レベル放射性廃棄物は、少し設備を追加したジャガイモ貯蔵庫並みの倉庫に置かれている。
#56 使用済み燃料のキャスク キャスクは放射線を遮断しない。
#57 短時間の核廃棄物処理 核廃棄物が入ったキャスクは、公式には40 年間の耐久性があるという。
#58 専門家の口封じ ゴアレーベンを最終処分場にするためにドイツ政府は、地質学者たちの口を封じた。
#59 ゴアレーベンの浸水 ゴアレーベンの岩塩採掘跡地にも地下水がでる。
#60 核廃棄物は最終処分場を破壊する 放射線は岩塩を脆くする。
#61 花崗岩層の亀裂 核廃棄物の処分には、花崗岩層でさえ動きすぎる。
#62 放射線の料理鍋 原子力発電所から鍋ができる。
#63 ロシアに押し付ける核廃棄物 グローナウ市のウラン濃縮プラントは発生する核廃棄物をロシアに押し付けている。
#64 幻想曲風に――月光ソナタ 月は遠く離れすぎている。
#65 核の錬金術 核変換も核廃棄物問題を解決しない。
#108 冷戦 ゴアレーベンはニーダーザクセン州の旧東ドイツに対する復讐であった――漏水するモアスレーベン最終処分場への。
#109 地下に隠された死体 核廃棄物処分場アッセに、原子力産業は放射線で死亡した労働者の遺体の一部を処分した。
#110 見せかけの調査 ゴアレーベン岩塩採掘跡地の「調査」は、最終処分場建設のためのカムフラージュにすぎない。
#111 殺しのライセンス 核廃棄物の最終処分場は密閉されていなくても良い、と環境省は決定した。
#112 破裂するガラス固化体 ガラス固化された核のスープは破裂しうる。
#113 ご都合主義 ゴアレーベン岩塩採掘跡の上にはそれを守る粘土層が存在しないと分かるや、最終処分場にはそのようなものは必要ないという。


#66〜#71+#114 気候保護と電力供給
#66 安定供給 原子力発電所は安定供給をしているわけではない。
#67 過剰生産 原子力発電所は無駄が多い。
#68 温室効果 原子力からの電気はCO2 フリーではない。
#69 気候保護  原子力は気候を救わない。
#70 非効率 原子力とは、純粋にエネルギー浪費のことである。
#71 電気の浪費 原子力は電気の浪費を促進する。
#114 核融合という幻想 核融合は今日すでに活用することができる――ソーラーエネルギーの形で。それ以外の全ては時間と金がかかりすぎる。



#72〜#79 権力と利権
#72 補助金 原子力開発部門は数十億ユーロ規模の補助金を得ている。
#73 非課税の燃料 ウラン消費は非課税である。
#74 非課税の内部留保 原子力コンツェルンは、数十億の収入に対して税金を払う必要がない。
#75 ドイツの研究分野の阻害 核関連施設の廃墟のために数十億の研究費を費やしている。
#76 脱原発先送りの利益 脱原発の期限延長で利益を得るのは電力コンツェルンのみである。
#77 電気料金 原子力発電による電力が、電気料金を高騰させている。
#78 市場で生き残れない 新規の原子力発電所は採算が取れない。
#79 コンツェルンの権力 原子力は、エネルギー供給の中央集権構造と巨大電力コンツェルンの権力を強固にする。


#80〜#87+#115 自由と民主主義
#80 自由の剥奪 原子力は私たちの自由を奪い、私たちの基本的人権を制限する。
#81 生存権 原子力は生存権を侵害する。
#82 警察の暴力 原子力反対の抗議活動を阻止するために国家は暴力を行使する。
#83 50 年間の争い 原子力は、数十年にわたり社会を分裂させる。
#84 コンツェルンによる政治 電力コンツェルンの政治への影響力が大きすぎる。
#85 国民の白痴化 「原子力がなければ電気が消える」という作り話を、電力コンツェルンは30 年以上も語り続けている。
#86 望ましくないこと 誰も原子力発電所の隣に住みたくない。
#87 倫理 原子力の利用は倫理に反する。
#115 法の保護なし 未来の世代は、法によって核の危険から保護されない。



#88〜#93+#116 戦争と平和
#88 偽装プログラム 原子力の平和利用と軍事利用は切り離せない。
#89 高速増殖炉 「高速増殖炉」は、核兵器拡散の危険を累乗的に増大させる。
#90 汚い爆弾 核施設から出る放射性物質は「汚い爆弾」のために悪用されうる。
#91 攻撃の標的 原子力発電所は、攻撃の標的である。
#92 劣化ウラン弾 ウラン濃縮の過程で生じる放射性廃棄物は、劣化ウラン弾になる。
#93 ウランをめぐる抗争 原子力産業のウランへの渇望は、新たな争いを煽りたてている。
#116 キャンパス内の爆弾の原料 ミュンヘン工科大学は武器になるウランをため込んでいる――大学の研究炉の燃料として。


#94〜#100  エネルギー革命と未来
#94 再生可能エネルギー 100%再生可能エネルギーによるエネルギー供給は可能である。
#95 相容れない関係 原子力と再生可能エネルギーは共存できない。
#96 投資の障害 原子力は、イノベーションと投資の妨げとなる。
#97 2%のテクノロジー 原子力は、特筆に値するようなエネルギー供給を担えない。
#98 時代遅れの遺物 原子力は世界中で時代遅れの遺物である。
#99 雇用 原子力は雇用を脅かす。
#100 エネルギー革命 原子力はエネルギー革命を阻害する。


そして #101 あなたの意見は正しい!
あとは、あなたの意見が抜けています。

当然のことながら、他にも数多くの原子力に反対する十分な理由があることでしょう。それゆえ、この101 番があります。あなたの持つ意見のために番号を予約してあるのです。もしあなたが新しく、そして優れた理由をお持ちであれば、その出典とともに以下のアドレスにお送りください。

info@100-gute-gruende.de

(訳注:基本的にドイツにおけるキャンペーンですから、日本の事情をここに持ち込まれても先方は困りますが、もし実際に送付される方がいれば、国際的な見地に立つ意見をお願いします。なお、先方が判読できるように、英語かドイツ語でお送りください)

追伸――日本における原発事故について

日本の原発の破局的な大事故は、原子力をコントロールできないことを明らかにした。

津波や原発事故によりいつ帰れるかわからないまま故郷を離れなければならない方、健康

やもしかしたら命までも犠牲にして最悪の事態を防ごうとしている技術者や作業者の方、そ

してもちろん地震の影響を大きく受け、追加で放射能汚染に怯えなければならない日本の

市民の方など、日本のみなさんを思うと心を痛めています。20 年以上前からシェーナウ電

力会社は、チェルノブイリ原発事故の被爆者を支援しており、このような事故が人間に想像

できない苦しみを与えることを知っています。

原子力エネルギーの危険性についての多くは知られています。現在、日本からの情報は非

常に限られています。WWW.100-GUTE-GRUENDE.DE は日本の状況を調査し――信頼

できる情報源が見つかったなら――そこから導き出された知見により新しい理由をまとめる

予定です。日本の状況に関しては100 の理由のうちとりわけ以下を参照してください。

#18 放射能の汚れ仕事

#25 地震の危険性

#28 保険

#29 破局的な大災害

#31 悪天候

#34 ホウ酸

#36 チェルノブイリより悪い事態

#38 故郷の喪失

#40 ヨウ素剤不足

#66 安定供給

#81 生存権

#87 倫理

#102 チェルノブイリ


各項目の詳細説明は、このページには書かれていません。

繰り返しになりますが、詳細については、下記のサイトを参照してください。

原子力に反対する100 個の十分な理由
地域の電力を自給自足するためのドイツの市民による電力会社
シェーナウ代表 ウアズラ・スラーデク


(関連リンク)

幸せに生きる環境学(フライブルクにて)
2011-8-7 EWS(シェーナウ電力会社)のウルズラ スラ−デックさんにインタビュー
http://d.hatena.ne.jp/masashi50/20110807/1312718683

nanohana
地球と7代先のこどもたちを元気にしてゆく情報発信サイト
http://nanohana.me/

シェーナウ電力会社HP(ドイツ語) http://www.ews-schoenau.de/



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