[原発事故]
■チェルノブイリを越える大惨事となった福島原発事故
チェルノブイリ原発事故の土壌汚染の最大値は370万ベクレル/m2でした。
福島原発事故は、その値をはるかに上回る大惨事になっています。
チェルノブイリ原発事故における避難基準(1平方メートルあたりの放射能汚染度)
汚染レベル (単位:ベクレル/m2) |
区域の扱い | 備 考 |
148万以上〜370万以下 | 居住禁止区域 | 住民は直ちに強制避難し、立ち入りを禁止 |
55万5000以上〜148万未満 | 特別放射線管理区域 | 住民に移住の義務が課せられ、農地利用を禁じられた |
18万5000以上〜55万5000未満 | 高汚染区域 | 住民の移住の権利が認められた |
3万7000以上〜18万5000未満 | 汚染区域 | 放射能管理が必要なエリアで、不必要な被曝を防止するための措置が講じられた |
福島第一原発事故における避難基準
地域 | 区域の扱い | 備 考 |
半径3km圏内 | 一時帰宅禁止 | 立入禁止区域。一時帰宅を認めない区域。 |
半径20km圏内 | 警戒区域 | 立入禁止区域。市町村長が認めた場合は、一時帰宅が可能な区域。 2011年4月下旬に「避難区域」から、罰則規定のある「警戒区域」に改められた。 |
半径20kmを超えて 30kmまでの圏内 |
緊急時避難準備区域 | 今すぐではないが、国や市町村の指示があった場合は、屋内退避や別の場所に避難が必要な区域。 |
1年間の放射線量を積算すると20ミリシーベルトに達する可能性がある地域 | 計画的避難区域 | 今すぐではないが、市町村から具体的な時期の提示があった時点で、別の場所へ1ヶ月以内に避難が必要な区域。 ただし、避難を拒否したり、避難後に一時帰宅をしても罰則は無い。 福島県の葛尾村、浪江町、飯舘村と、川俣町の一部、南相馬市の一部。 飯舘村と、川俣町の一部で避難が開始されたのは、2011年5月15日。 |
「計画的避難区域」や「警戒区域」の外で、計画的避難区域とするほどの地域的な広がりはないものの、事故発生後1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超えると推定される地点 | 特定避難勧奨地点 | 2011年6月16日に「計画的避難区域」とは別に、新たに設けられることになった地点。 住居単位で特定し、市町村を通じて個別に通知される。 (2011年6月30日現在、福島県伊達市内の104地点、113世帯) 詳細なモニタリングの結果を踏まえ、除染が容易でない地点が指定される。 避難は推奨であり強制ではないが、特に妊婦や子どものいる世帯は避難することが望ましい。 |
(引用ここから)
赤色〜一時帰宅禁止 / 桃色〜警戒区域 / オレンジ色〜緊急避難準備区域 /
空色〜計画的避難区域
2011年5月16日(月)「しんぶん赤旗」 「福島原発事故 計画的避難始まる」より
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-16/2011051601_01_1.html
放射性物質:チェルノブイリの強制移住基準超も…親ら調査
福島県の親らでつくる「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などの市民団体は5日、避難の対象区域外である福島市内の4カ所で土壌を調 査した結果、放射性物質がいずれも法令で定める基準を超え、チェルノブイリ原発事故での強制移住の基準を超えるところもあったと発表した。
神戸大の山内知也教授(放射線物理)が同ネットワークなどの依頼を受け、6月26日に土壌を採取し分析。放射性セシウム2種の合計で、土1キロ当たり約1万6000〜4万6000ベクレルを計測、法令基準の同1万ベクレルを超えた。
ネットワークによると、4カ所のうち同市小倉寺の側溝から採取した試料では1平方メートル当たりに換算して93万1000ベクレルに相当し、チェ ルノブイリ事故での強制移住の基準1平方メートル当たり55万5000ベクレルを超えた。ほかの3カ所での換算値は同32万6000〜38万4000ベク レルだった。
文部科学省の測定では、今回調査した福島市内の1地点で土1キロ当たり3万7000ベクレル、1平方メートル当たり74万ベクレルに相当する放射性物質が検出されたことがあるという。
チェルノブイリ事故での基準55万5000ベクレルは、年間被ばく線量では5ミリシーベルトに当たるとされる。同ネットワークは「年間被ばく線量 で20ミリシーベルトとしている国の避難の基準は、現在の土壌汚染や内部被ばくを考慮していない」と指摘。避難したいのにできない人たちが多くいるとし て、基準以下でも住民が自らの判断で避難できるよう支援や補償を行政に求めている。
毎日新聞 2011年7月5日 12時47分
http://mainichi.jp/select/science/news/20110705k0000e040057000c.html?inb=ra
(NHKの報道には一部に正確でない部分があります)
土壌汚染の広がり 地図を公表
8月29日 20時38分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放出された放射性物質による土壌汚染の広がりを、農地に限らず詳細に調べた地図が公表されました。原発に近い一部の地点の土壌汚染は、IAEA=国際原子力機関が緊急事態の対応として一時的な住居の移転を求めるレベルを超えていることが分かりました。
地図は、文部科学省が6月から7月にかけて、福島県を中心に2200余りの地点で測定した、土に含まれる放射性物質の量などを基に作成したものです。29日に農林水産省が公表した農地の汚染は土1キログラム当たりですが、土壌の汚染は1平方メートル当たりの放射性セシウムの濃度で示されています。それによりますと、最も高い値を示したのは、福島第一原発から数百メートルに位置する大熊町の地点で、放射性セシウムの濃度が1平方メートル当たり2946万ベクレルに上っていました。この値は、IAEAが緊急事態の対応として一時的な住居の移転などを求める放射性物質の濃度、1平方メートル当たり1000万ベクレルを超え、極めて高いレベルです。今回の調査では、ほかに原発から北西方向の双葉町や浪江町の一部の地点でもこのレベルを超えていました。福島第一原発と同じように土壌汚染が問題になったチェルノブイリ原発事故の場合、1平方メートル当たり55万5000ベクレルを超える区域で一時的な住居の移転が求められましたが、今回の調査では、こうした地点が、福島市や二本松市など、警戒区域や、計画的避難区域以外の地域にも広がっていることが分かりました。一方で、土壌汚染の度合いは、原発からの距離とは必ずしも一致せず、原発から北西方向や、福島市から栃木県の那須塩原市の方向に帯状に高い汚染地域が広がっていました。政府は、今回作成した地図を、住民の被ばく量の評価や、除染の計画作りなどに役立てたいとしていて、今後も継続的に調査を行うとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110829/k10015231101000.html
土壌汚染地図を作成=34地点で高濃度セシウム−HPで公表・文科省
文部科学省は30日までに、東京電力福島第1原発から半径100キロ圏内の土壌に含まれる放射性セシウムの濃度地図を作成した。最も高かったのは、原発のある福島県大熊町の採取地点で、1平方メートル当たり約2946万ベクレル(セシウム134と137の合計)。原発の北西方向約30キロに、濃度の高い地点が広がっていた。地図は同日午後、同省のホームページで公開。今後の除染作業や住民の被ばく線量把握などに活用する。
文科省は研究機関や企業などの協力を得て、6月6〜14日と、同27日〜7月8日の間に調査を実施。原発から80キロ圏内は2キロ四方、80キロ圏外は10キロ四方の区画に分け、それぞれの区画から5カ所ずつ、計約2200地点で地表から深さ5センチの土を採取し分析、結果を地図上に示した。(2011/08/30-12:12)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011083000364
文科省が2011年8月30日に公開した「放射性セシウムの土壌濃度マップ」の一部
「セシウム137土壌濃度マップ」。およそ100km圏内の約2200箇所で測定されたもの。
文部科学省 放射線モニタリング情報 http://radioactivity.mext.go.jp/ja/
(引用ここまで)
NHKの報道で黄色のラアインマーカー部分は正確ではありません。55万5000ベクレル以上の区域で、「住民に移住の義務が課せられ、農地利用を禁じられた」のです。「超える」と「以上」は違います。「一時的な住居の移転」という部分も印象操作的な表現で、実態にそぐわない誤解を招くものです。
最高値は福島県大熊町の2946万ベクレル/m2 でしたが、これはチェルノブイリ原発事故の最高値である370万ベクレル/m2 をはるかに上回る値です。 文科省の調査ではありませんが、東北大学が行った大熊町の土壌汚染調査では、5778万ベクレル/m2 という測定地点も見つかっています。 チェルノブイリ原発事故の「居住禁止区域」レベルに相当する、148万ベクレル/m2 を超える地点が、福島県の浪江町、大熊町、双葉町、富岡町、飯舘村、南相馬市の6つの市町村で34カ所にも上りました。もはや、人が住んでいい場所ではないのです。 |
福島第一原発事故による土壌汚染の濃度が、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る点については、NHKの石川解説委員が2011年5月6日の共同記者会見の席で既に指摘をしていました。会見場では、原子力安全委員会と文科省でなすりあいを行い、測定値の評価コメントについては言明を避け、持ち越しとなりました。それから約4ヶ月ほど経って公開されたのが、今回の100km圏内についての土壌汚染マップです。
飯舘村の人達は、事故発生後3月の時点で、避難することを求めていました。
経済産業省原子力安全・保安院は2011年3月31日夕方の記者会見で、国際原子力機関(IAEA)が福島第1原子力発電所から約40キロメートルの地点にある福島県飯舘 村の土壌から高濃度の放射性物質を検出し「避難の必要がある」としたことについて「避難の必要性はなく、落ち着いて考えていただいて大丈夫だ」との見解を表明したのです。
こういった大惨事では、先ずは事故を「過大評価」をして住民を避難させるのが原則なのです。
ところが、日本政府が行ったのは、「事故の過小評価」でした。避難させるべき人を迅速に避難させず、必要の無い大量の被曝をさせたのです。
飯舘村の人達の避難が開始されたのは、2011年5月15日のことでした。
− | 福島第一原発事故 | チェルノブイリ原発事故 |
土壌汚染レベル | 最大2946万ベクレル/m2 東北大学の調査では 5778万ベクレル/m2 |
最大370万ベクレル/m2 |
大気中にばら撒かれた放射性物質 | 広島原発の168個分 | 広島原発の90個分 |
チェルノブイリ原発事故の「広島原発の90個分」という数字は、チェルノブイリ原発事故の事実に基づいて2003年にアメリカで製作された映画「チェルノブイリ・ハート」によるものです。
1986年4月26日に起きた旧ソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故。それから16年、アメリカ人の女性ドキュメンタリー作家がベ
ラルーシ共和国を訪れ、いまもなお被爆被害に苦しむ人々の姿をつづったドキュメンタリー。第76回アカデミー賞でドキュメンタリー短編賞を受賞。 チェルノブイリ・ハートとは、“穴のあいた心臓”、“生まれつき重度の疾患を持つ子供”の意味である。ベラルーシでは現在でも、新生児の85%が何らかの 障害を持っている。1986年4月26日、旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉が爆発事故を起こし、放射性降下物はウクラ イナ、ベラルーシ、ロシアを汚染した。2002年、ベラルーシ共和国。原発から半径30キロ以内の居住は禁止されている。さらに北東350キロ以内に、局 所的な高濃度汚染地域“ホット・ゾーン”が約100ヶ所も点在している。ホット・ゾーンでの農業や畜産業は、全面的に禁止されている。そんななか、ホッ ト・ゾーンの村に住み続ける住民、放射線治療の現場、小児病棟、乳児院の実態に迫る。さらに4年後、事故から20年が経った2006年、事故があってから 初めて故郷を訪れた1人の青年は、廃墟となったアパートへ向かう。爆心から3キロの強制退去地域は、1986年で時間が止まっていた。青年は1986年の カレンダーを見つめて、近親者の10人がガンで死んだこと、自分もそうやって死ぬ確信があることを語る。その1年後、青年は27歳の生涯を閉じた。 |
(関連リンク)
首相官邸・災害対策ページ 緊急時避難準備区域について(2011年4月15日)
http://www.kantei.go.jp/saigai/faq/20110415_2.html
首相官邸・災害対策ページ 計画的避難区域について(2011年4月15日)
http://www.kantei.go.jp/saigai/faq/20110415_1.html
首相官邸・災害対策ページ 特定避難勧奨地点について(2011年7月1日更新)
http://www.kantei.go.jp/saigai/faq/20110701genpatsu_faq.html
首都圏もチェルノブイリ並みに汚染されている
ゲンダイネット 2011年8月9日
http://gendai.net/articles/view/syakai/131974
福島原発事故 - 福島の土壌汚染はチェルノブイリを超えていた!
2011年5月8日
http://www.qetic.jp/blog/pbr/?p=3398
「福島原発事故 計画的避難始まる」
しんぶん赤旗 2011年5月16日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-16/2011051601_01_1.html
院長の独り言 5700万Bq/m2(1500Ci/km2)の大地〜大熊町
http://onodekita.sblo.jp/article/46986461.html
チェルノブイリハート◆健康な赤ちゃんはたった15〜20%
http://blogs.yahoo.co.jp/ta1tataro/6034675.html
福島原発事故メディア・ウォッチ
土壌汚染とチェルノブイリ移住基準:148万ベクレルと55万5千ベクレルどっちがほんと?
http://blog.goo.ne.jp/gimlidwf2011/e/e83072fb913d77424618be8a416ee1ab
東日本大震災:土壌汚染マップ作製 セシウム蓄積、福島・大熊町で最高値
毎日新聞 2011年8月30日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110830ddm012040062000c.html
福島市や郡山市の土壌濃度は、
チェルノブイリ原発事故で健康被害が続出した地区に匹敵
2011年9月22日 矢ケ崎克馬・琉球大名誉教授
http://nanohana.me/?p=5318