[原発事故]
■ドイツZDF-Frontal21 福島原発事故、その後(日本語字幕)
ドイツのTV局ZDF「フロンタール21」シリーズが
この美しい風景が悪夢の舞台です。日本屈指の豊かな農地・福島県。都会の人の観光地としても人気だ。原発事故で、その広域が汚染されてしまったのだ。
大沢さん(61歳)は本宮の農家。原発からは
大沢さん
「政府の発表は、もはや信用できない。最初から事態を小さく見せようとばかりしている。直ちに健康に害がないの繰り返し。正確な数値も出さない。まともな測定もしない。汚染問題の中に、みんなを放置した。」
事故後、大沢さんは、すぐ作物の検査を行政に依頼したが、「畑は20・30キロ圏から遠く離れている。検査の必要はない」と断られた。市民放射能測定所の意見は正反対である。汚染のない作物はない。特にセシウム137がひどいからだ。「こんな汚染数値の場所は本当は絶対避難するべきです。」
大沢さんのジャガイモも例外ではなかった。原発から60キロ離れた伊達市のシイタケからは、1キロあたり7000ベクレルの汚染が測定された。暫定基準値は500ベクレルだ。
市民放射能測定所
「もはや食べ物ではなくて放射性廃棄物です。」
汚染調査は、本来、県の食品衛生検査所の管轄だが、ほとんどパンク状態である。コンセプトもない。人手も計測器の数も追いつかない。
食品衛生検査所
「一般の方の検査はお断りせざるをえません。我々が選んだサンプルを検査し判断を出しておりますが、それだけで手一杯の状態です。市民の検査も引き受けたら、役所の仕事に手が回りません。」
我慢強い日本人もだんだん食品の汚染問題に気付きはじめている。野菜、緑茶に続いて牛肉。原発を所有する東電の反応は?今までと同様、ノーコメント、管轄外の一点張りだ。
東電
「私達の仕事は原発の中です。測定は国と地方行政の管轄で、私達はお手伝いするだけ。ですからコメントできません。」
大沢さんの農作物検査結果について、我々(ドイツのTV局ZDF)が質問すると、原発担当大臣はうろたえるばかりだった。危機管理担当の役人達は、長々と書類をチェックしたあげく、大臣はついに不備を認めた。
原発担当大臣
「万全の監視体制のつもりでしたが、牛肉問題で検査の強化の必要が認められました。今後、汚染食品が出回ることを防止しなければなりません。」
一方、グリンピースは独自の調査結果を発表。魚も汚染されていた。
グリンピース
「魚は相変わらず高濃度のセシウムに汚染されています。原発から55キロ離れた所まで調査した魚の半分が、基準の500ベクレル/キロを大きく上回っていました。汚染が広範囲であることを物語っています。」
日本人の主食・米も同じ運命のようだ。大沢さんの田んぼの土は二度検査所に提出された。最初の検査は合格したが、二度目の結果は公表されない。
大沢さん
「今年も作付けを出来るか知りたかったので、自費で独立の研究所に検査をしてもらった。
福島市のほとんどの住民は、こうした汚染数値を知らされていない。おりしも夏祭り、売られている物は何でも食べる。空中線量が下がって以来、人々は日常生活に戻った。子供の被曝許容量が
クリストファー・バズビー教授
「日本政府の無責任ぶりは犯罪的だと思う。子供に平気で高い被曝をさせている。都合がいいというだけで、短期間でこれほど基準を変えてしまうとは。この判断は間違いなく、多くの子供を死に至らせるだろう。文明国のやることとは思えない。」
だがここはまさに、原子力村の国なのだ。権力を握る電力会社、政治家、官僚が原発のあらゆるスキャンダルを隠蔽し、大したことがないように見せてきた。何兆円ものビジネスを守るために、今回も同じ手段を使おうとしている。大沢さんはまさに文字通りそれを身をもって体験した。
大沢さん
「自分の体がどのくらい放射能被曝しているか検査したかった。だが
しかし、大沢さんは農家を捨てなければならない。自宅で毎時90マイクロシーベルトを測定したのだ。9日間でドイツ原発作業員の年間許容量に達する数値だ。原発から
クリストファー・バズビー教授
「これは人間の想像力を超える惨事です。制御不能の状況であることは、当初から明らかだった。どうしたらいいのか誰にもわからないし、簡単な答えも無い。これは、人類史上最悪の惨事だと思う。」
福島の至る所に人々は ひわまりを植えた。土の中の放射能を吸収すると言われている。
字幕等の正誤表
誤 | 正 |
2011年8月26日放送 | 2011年8月9日放送 |
80キロ | 60キロ |
5万3千ベクレル/キロ | 3万5千ベクレル/キロ |
20ミリシーベルト/時 | 20ミリシーベルト/年 |
福島大学 | 福島にある某大学 |