[原発に破壊された経済]
■畜産業界から飲食店まで、全国に流通した汚染牛肉で深刻な事態に
■畜産業界から飲食店まで、全国に流通した汚染牛肉で深刻な事態に
放射性物質で汚染された牛肉が全国に流通してしまいました。
放射性セシウムは暫定規制値を超えていました。
セシウムだけが注目され問題にされています。ストロンチウムなど、他の核種は問題にされていないようです。ですがこれは、セシウム以外の核種は、計測が難しいためで、セシウム以外の核種が含まれないという意味ではありません。
東京都の食肉市場では、福島県産の牛肉価格が暴落し、値がつかないケースも出ています。牛肉に対する不安から、福島県産だけでなく、他の産地の牛肉も価格の下落傾向が続いています。
畜産農家や卸売業者だけでなく、小売店や飲食店への影響も深刻です。福島県産だけでなく、福島県近郊のものまで避けられて売れない事態まで引き起こしています。
さらに影響は、福島県や近郊のみならず、国産の牛肉にまで飛び火しています。消費者は、放射性物質で汚染されているリスクを避けるために、外国産を求める傾向にあります。
農林水産省は4月下旬、高濃度汚染区域から出荷される肉用牛全頭を対象に、福島県が体の表面を検査などすれば出荷を認めると指導しました。その結果、事故後に見合わせていた出荷が再開されてしまいました。元をただせば、このような軽率で思慮の足りない農林水産省の指導が、今回の事態を招いたのではないでしょうか。さらには、農林水産省の指導に疑問を持たない各自治体の無責任さ、思考の欠如がそれに追い討ちをかけたといえるでしょう。
自治体の担当者らが出席した会議で、畜産農家は牛の内部被曝検査の実施を訴えたのに、受け入れられなかったという事実も明らかになっています。
福島県の畜産農家が育てているのは、牛だけではありません。豚はどうなのでしょうか?鶏はどうなのでしょうか?高濃度に汚染されたワラを、牛が食べたのが発端といわれていますが、牛以外の畜産物の餌は、本当に汚染されていないのでしょうか。
ワラから検出されたセシウムの濃度ですが、南相馬市では、規制値の60倍の1キロ当たり7万5000ベクレル。浅川町では、それを上回る73倍もの9万7000ベクレルでした。そして、ワラは、福島第一原発から80キロ離れた白河市の農家から購入したものでした。福島原発から80km離れていても、大変な濃度で汚染されてしまったのです。
放射性物質は、ワラ(稲わら)だけをターゲットにするわけではありません。放射性物質はワラ以外にも降り注いでいます。避難区域の外であっても、放射性物質による汚染が深刻であることがわかります。
「もうやっていけない」=売り上げ半減、精肉店悲鳴−セシウム汚染牛
(2011/07/16-14:57)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011071600218
セシウム、牛11頭すべて規制超…南相馬の農家
(2011年7月9日13時12分 読売新聞)
(4月下旬以降、2924頭の肉用牛が出荷されたことが判明)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110709-OYT1T00338.htm
わら汚染、対策の盲点続々
(2011.7.15 23:47 産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110715/dst11071523500032-n1.htm
[原発に破壊された経済]
■稲わらを出荷した宮城県業者の苦悩
■稲わらを出荷した宮城県業者の苦悩
(引用ここから)
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東日本大震災:稲わら汚染 「150キロ離れてるのに」 宮城の業者、国の対応に怒り
放射性セシウムに汚染された稲わらが牛のえさに使われていた問題で、稲わらを出荷した宮城県大崎市の販売業の男性が18日、毎日新聞の取材に応じた。同市は福島第1原発から約150キロも離れている。「爆発直後の風向きも別の方角だったし、汚染されていたとは思ってもみなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい」と話した。
男性は3月下旬〜4月、大崎市内の複数の農家から水田に置かれていた稲わらを購入し、福島県と山形県に出荷。今月に入り、福島県南相馬産の肉牛からセシウムが検出される問題が起きたため、「商売上、『安全』の証明書が必要」と思い、民間の調査機関に稲わらを送ってサンプル調査を依頼した。
この結果が届く前に、福島県の調査で汚染が明らかになった。「商売を始めて約20年。客の信頼を損ねないよう一生懸命やってきたのに、こんな結果は残念」と唇をかむ。
国や宮城県に対しては、「稲わらの危険性をもっと周知徹底してくれなければ、一般農家は対策の取りようがない。少しでも危険があるなら、もっと早く調査すべきだった」と憤った。宮城県ではほかに、登米市と栗原市の業者が販売した稲わらからもセシウムが検出されている。【川上晃弘】
毎日新聞 2011年7月19日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110719dde041040030000c.html
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(引用ここまで)
この宮城県の業者が出荷した稲わらによって、福島県と山形県の牛が内部被曝をし、汚染牛肉が全国に流通してしまいました。宮城県栗原市の別の業者は、新潟県長岡市の農家へ汚染された稲わらを出荷し、新潟県の肉牛も汚染され、その牛肉も流通してしまいました。「福島産」だけでなく、「山形産」、「新潟産」の牛肉も汚染されて流通してしまったのです。
原発事故さえなければ、放射性物質をばら撒くことさえなければ、この業者も20年間積み上げてきた信頼を失うこともありませんでした。汚染わらを販売してしまうという加害者になることもありませんでした。汚染された牛肉が流通することもありませんでした。
原発から約150キロ離れていても、稲わらは汚染されていたのです。その稲わらを食べたのは、牛だけなのか、他の家畜が食べていないのか、そういった確認も必要です。そして、放射性物質は、稲わらだけをターゲットにするわけではありません。同様に土壌も汚染されたことでしょう。
牛だけではなく、ならば豚や鶏は大丈夫なのか。国や自治体は先手を打たなくてはいけないのに、いつも後手後手です。国や自治体は、通常業務にどっぷり浸っていて、こういった危機的な状況には、何ら先手を打つ対応ができていません。危機管理ができていないのです。
原発のせいで、日本の経済は破壊され続けています。
[原発に破壊された経済]
■福島県への修学旅行は激減 旅行業界・旅館業界は壊滅的な状況
■福島県への修学旅行は激減 旅行業界・旅館業界は壊滅的な状況
(引用ここから)
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東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、福島県内の宿泊施設の予約キャンセルが6月末までに、県旅館ホテル生活衛生同業組合の加盟施設で約68万7000人分に上り、損害は約74億6000万円に達することが分かった。
県内への修学旅行は例年の1〜5%に激減する見通し。全国旅行業協会の会議で、県が26日に明らかにした。
同組合は、原発事故以降6月末までの状況を加盟する630施設に調査。回答があったホテルや旅館など470施設で約68万7000人分のキャンセルがあった。
県内には組合に加盟していない施設が約1700施設あり、さらにキャンセルや損害が膨らむのは必至。
特に、修学旅行や林間学校などの「教育旅行」は県内の年間宿泊者数の1割にあたる延べ約70万人を占めるが、会津地方を中心に落ち込みが激しく、実数で3500〜5000人と1〜5%にとどまる。
福島、宿泊キャンセル68万人…修学旅行5%以下
(2011年7月27日14時38分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110727-OYT1T00579.htm
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(引用ここまで)
これはひどい。旅行業界、ホテル業界は壊滅的な状況です。
福島へ行くことを楽しみにしていた人がたくさんいたんです。
修学旅行の生徒さん達が来るのを楽しみにしていた宿泊施設がたくさんあるのです。
これでは、廃業に追い込まれる旅行会社や旅館・ホテルも出てきそうです。
東電が起こした原発事故は、あまりにも被害が大きく、償いきれないものです。
このような状況の中で、原発を再稼動させるとか、経産省も民主党も自民党も、頭がおかしいとしか言いようがありません。このような惨状の中にあって、電気を作るだけなのに、原子力を使うことの間違いが、まだわからないのでしょうか。事故からさえ学べない愚者が、国を滅ぼします。
[原発に破壊された経済]
■ヤギ、ヒツジも出荷できず
■ヤギ、ヒツジも出荷できず
東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県二本松市の東和地区などで、地域活性化のために盛んに飼育されている肉用のヒツジやヤギが出荷できず、関係者が困惑している。二本松市の三保恵一市長は30日、政府の原子力災害現地対策本部や県に対し、検査や市場再開を求めた。同日の県議会政調会でも、対応を求める発言が出た。
同市によると、肉用のヒツジなどは出産後、1年未満で出荷するため、冬場に産んで、毎年8月下旬に隣接する福島県本宮市の家畜市場に出荷してきた。二本松市と周辺の21戸の農家が184頭を育てており、遊休の桑畑を牧草地に転換するなどしている。
だが、今年は原発事故で市場が開かれず、出荷適齢期を過ぎたヤギやヒツジが今も農家に留め置かれている。さらに、汚染された牧草を与えられず、餌代もかさんでいるという。
要望では、検査態勢を整え、早期に市場を再開することをはじめ、再開できない場合の買い上げ、代替飼料の費用負担、損害賠償の対象にすることなどを求めている。
取材に対して、三保市長は「肉用牛と違い、ヤギやヒツジは検査、経営圧迫への対応を検討すらしていない」と国、福島県への不満を強く訴えた。
福島県畜産課は「ヒツジなどは放牧で草の深い部分や土も食べるため、JAが出荷を見合わせた。子ヒツジを遠隔地に移動させ、体内のセシウムが減るまで育てられるか、など対応を国と検討する」(大谷秀聖課長)としている。
2011.8.30 20:45
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110830/fks11083020450003-n1.htm
ここでも、かなり深刻な問題が生じています。このように、経済が破壊されている状況なのに、対応を検討すらしないとは、どういうことなのでしょうか。全く理解できません。
国や経団連などが言っている「原発が止まると経済が停滞する」というデタラメなプロパガンダは、原子炉メーカー、原発商社、鉄鋼、建設業、化学など、原発マネーが流れている部分の経済だけを言っているようです。「原発マネー経済が停滞」と正確に言うべきです。農業、漁業、畜産、観光等、他の経済のほうが原発事故で深刻な事態なのです。
「経済が停滞する」とか言っておきながら、経済が停滞どころか破壊されている状況なのに、対応を検討もせずに放置しているのです。全くおかしな話です。やはり、経済ではなくて「原発マネー経済」だけが心配なのでしょう。「原発マネー経済」のためなら、他の経済は犠牲にしていいという、私利私欲の醜い考え方です。とても罪深いことです。
[原発に破壊された経済]
■8万4000人だった海水浴客も今年はゼロ
■8万4000人だった海水浴客も今年はゼロ
飯舘村に一時帰宅するも、自宅敷地内の放射線量は毎時3マイクロシーベルト。これは年26ミリシーベルトに相当。国際放射線防護委員会(ICRP)が示す平常時の線量限度の年1ミリシーベルトを大きく上回る値。
南相馬市には世界大会が開かれるほどのサーフスポットや海水浴場もあるが、昨年7−8月は8万4000人だった海水浴客も今年はゼロ。
人の人生も経済も破壊し続ける原発事故。原発事故の被災者の苦しみも理解できず、いまだに原発を推進する人達がいます。とても罪深いことです。
戻りたいが生計のめど立たず−高放射線量の飯舘村からの避難民(1)
2011/09/27 11:58 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aLLZy9kH2bA0
[原発に破壊された経済]
■狭山茶の業者 自己破産を申請 (2011.10.3)
■狭山茶の業者 自己破産を申請 (2011.10.3)
10月3日 17時47分
埼玉県産の狭山茶の栽培から販売まで手がける埼玉県入間市の業者が、一部の県産狭山茶から国の暫定基準値を上回る放射性物質が検出されるなどした影響で、売り上げが落ち込み、資金繰りに行き詰まったとして、さいたま地方裁判所川越支部に自己破産を申請していたことが分かりました。
自己破産を申請したのは、埼玉県入間市に本社がある狭山茶の栽培から加工、販売まで手がける「橋本園」です。橋本園によりますと、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、ほかの県のお茶から国の基準を超す放射性物質が検出されるなどした影響で、ことしの新茶の売り上げが前の年に比べて20%程度減ったということです。さらに9月、埼玉県産の一部の狭山茶からも、国の暫定基準値を上回る放射性セシウムが検出されてからは、売り上げが半分程度まで落ち込んだということです。橋本園では、来年、栽培しても影響が長引いて販売できないかもしれないなか、経営立て直しの見通しが立たず資金繰りに行き詰まったとして、先月30日、さいたま地方裁判所川越支部に自己破産を申請しました。民間の信用調査会社帝国データバンクによりますと、橋本園は、狭山茶の取扱量が全国トップクラスで、地元農家100戸ほどと契約し、スーパーや商社に納入したり直営店などで販売したりしていて、負債総額は5億円だということです。埼玉県茶業協会によりますと、原発事故の影響で、狭山茶の業者が経営破綻するのはこれが初めてだということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111003/t10013006711000.html
とてもひどい話です。業者さんは、何も悪いことをしていません。なのに、どうして、こんなひどい仕打ちを受けねばならないのでしょうか。原発事故さえなければ、このようなことはなかったのです。原発事故のせいで、人の人生も日本の経済もメチャクチャに破壊され続けています。
[原発に破壊された経済]
■サンマ漁、原発百キロ圏内の操業自粛→禁止(2011.10.7)
■サンマ漁、原発百キロ圏内の操業自粛→禁止(2011.10.7)
サンマ漁、原発百キロ圏内の操業自粛→禁止(2011.10.7)
全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま、東京)は7日、都内で開いた理事会で、サンマ漁の操業自粛区域としていた東京電力福島第一原子力発電所から半径100キロの海域を、操業禁止区域とすることを決めた。
対象海域を操業禁止にすることについて、全さんまでは「自粛より(禁止という形で)はっきり示した方が安全・安心につながるため」としている。措置は今年度いっぱいで、違反した組合員は処分対象になるという。全さんまは今月中旬以降、対象海域周辺で放射性物質の事前検査を行い、安全性を確認する。
また、北海道東部と東北地方の各市場の処理能力が水揚げに追いついていないことから、今月9日から当面の間、水揚げ回数を制限する。大型船(100トン以上)が2週間に5回、小・中型船(10〜100トン未満)は同7回までとする。
(2011年10月7日22時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111007-OYT1T01249.htm
原発事故は、漁業関係者の生活も経済も破壊しました。
放射能を無毒化する技術もないのに、原子力を発電に使うということが、いかにリスクが高く、間違いであるか、漁業関係者の皆さんも感じていると思います。
[原発に破壊された経済]
■静岡のシイタケ、規制値2倍のセシウム検出(2011.10.7)
■静岡のシイタケ、規制値2倍のセシウム検出(2011.10.7)
静岡のシイタケ、規制値2倍のセシウム検出
静岡県は7日、同県伊豆市で収穫、出荷された乾燥シイタケを販売業者が自主検査したところ、国の暫定規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を超す1033ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
発表によると、乾燥シイタケは伊豆市内の生産者が4月中旬までに加工し、県内外の5か所に出荷された。すでに一部が消費者に販売されたという。県は8日、検体を正式に検査する。規制値を超えた場合は生産者に出荷自粛と自主回収を要請し、県内の主要産地でも検査を実施する。
読売新聞 10月7日(金)20時17分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111007-00001126-yom-soci
静岡県は、お茶に関しては、工場単位で暫定基準値を下回るまで出荷を自粛していました。お茶について、すべての工場で自粛が解かれたとおもいきや、こんどはシイタケです。
原発事故による被害は、際限なく続いています。放射性物質がばら撒かれてしまうと、もはや人の手に負えるものではないということです。放射能を無毒化することは不可能なので、出荷を自粛し、出荷してしまったものは回収するしかないのです。
シイタケ業界の皆さんも、たいへんな思いをされていることでしょう。
生活を経済を破壊されている大勢の方々のことを考えず、原発利権の私利私欲に溺れて、原発の再稼動を主張している人達は、本当に罪深い人達だと感じます。