[地震で壊れる原発]
■津波対策をしても原発事故は防ぎきれない
■津波対策をしても原発事故は防ぎきれない
■地震で壊れていた高圧注水系の配管
福島第一原発事故では、3号機の高圧注水系(緊急炉心冷却系の一部)を動かし始めた途端に、原子炉の圧力が下がってしまった。これは、高圧注水系の配管が破れていたためだ。配管は原子炉建屋の中にあるもので、津波で壊れるものではない。
つまり地震で壊れたということだ。高圧注水系という冷却システムは、余熱の水蒸気を動力源にして動くものなので、電源は不要。しかし、配管が壊れていては、動力源の蒸気がそこから漏れてしまい、せっかくの冷却システムも動作しない。
地震による震災時は、高圧注水系による緊急炉心冷却のしくみは、あてにできないことが実証された。
■サプレッションチェンバは地震で壊れていた
福島第一原発2号機のサプレッションチェンバ(格納容器の一部)で水素爆発が起きた。格納容器は窒素で満たされているので、格納容器で水素爆発が起きるこ とは、原理的には有り得ない。サプレッションチェンバの部分に、既に損傷があって、その部分が外界とつながっていて、酸素がそこにあったから水素爆発が起 きたのだ。格納容器の中に外界から酸素が入ってきたか、格納容器に充満していた水素が外界に漏れたのか、いずれかはわからないが、地震で損傷したからその ような事態が起きたのである。
サプレッションチェンバは、津波にやられるような場所にはない。つまり、サプレッションチェンバは地震で損傷をしていたのだ。
重要な機器が、津波ではなく地震で損傷したことを、重く受け止めるべきだ。
■原発技術者だった菊地洋一さん「津波のせいではない、地震で配管が壊れたのだ」
5月28日の講演で、東海原発2号機や福島第1原発6号機の建設に関わった菊池さんは、「津波のせいで事故が起きたという説明は違うと思っていた。壊れた のは配管。マグニチュード9の地震で、上からつり下げる構造の配管がもつはずがない」と指摘した。
原発関係会社をやめた理由については、「福島原発建設に参加した先輩技術者が『この原発はもたない。やめるべきだ』と会社に訴えたが、受け入れられず辞職したことにショックを受けた」と語った。
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福島原発の建設に携わった現場の技術者の忠告に、建設会社は耳を傾けることなく、建設は進められました。建設の段階で、問題のあることを指摘されていたに もかかわらず、建設が強引に進められたのです。このことからも、福島第一原発の事故は、人災であると言えるでしょう。
福島第一原発の事故は、津波が強調されていますが、それは間違いです。津波対策を強化したところで、地震による震災に持ちこたえることはできません。
火力発電も地震で被災します。ですが、火力発電は、復旧させることができます。一方、原発は被災してしまうと、復旧させることができないばかりか、水素爆発や放射能汚染といった、収拾の目処もたたないような大事故に陥るのです。
中部大学の武田邦彦先生は、「原発は震度5程度の地震で壊れる設計になっている」旨のお話しをされています。技術者だった菊地さんのお話にもあるように、配管については、上からつり下げているだけの耐震性に乏しい構造です。
お湯を沸かして、蒸気の力で蒸気タービンを回転させて発電するだけなのに、極めてリスクの高い原子力に固執するのは、異常としか言いようがありません。
関連リンク
京都大学 小出先生 インタビュー(2011年6月7日) 岩上氏
http://www.ustream.tv/recorded/15220732
http://www.ustream.tv/recorded/15220874
地震で壊れていた冷却システム
http://agata107.ktkr.net/v/g/2011/05/post-15.html
「地震で配管壊れた」元原発技術者が講演
http://mytown.asahi.com/kagoshima/news.php?k_id=47000001105290005
[地震で壊れる原発]
■外部電源喪失は地震が原因だった
■外部電源喪失は地震が原因だった
(引用ココから)
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外部電源喪失 揺れで設備故障
5月24日 20時27分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原子炉を冷却するための外部電源が失われたのは、送電線の設備が地震の揺れによって壊れたり、ショートが起きたりしたことが主な原因であることが東京電力が国に提出した報告書で明らかになりました。
東京電力福島第一原子力発電所では、3月11日の地震発生直後に外部電源が失われ、復旧には10日以上かかるなど原子炉の冷却が滞りました。東京電力は、 外部電源が失われた原因についての報告書を経済産業省の原子力安全・保安院に提出し24日に公表しました。それによりますと、福島第一原発に非常用の電気 を送る6系統の送電線のうち、4系統では揺れのため電線が鉄塔に触れてショートが起き、残りの2系統ではスイッチなどの設備が壊れたということです。この 影響で送電線の安全装置が働き、送電できなくなったということです。このうち、5号機と6号機に電気を送る敷地内の送電線の鉄塔の一つは倒壊していたこと も分かり、東京電力は大規模に崩落した近くの盛り土がなだれ込んだのが原因だとしています。
さらに非常用の電源を供給する新福島変電所では、ケーブルが切れたり変圧器にひびが入ったりする、さまざまな被害が出て復旧に時間がかりました。東京電力 は、これらの設備は地震の揺れに対して余裕をもった設計をしていたと説明していますが、なぜ壊れたのか揺れのデータを基に調べることにしており、電力各社 も同じような非常用の設備の耐震性を検証し直すことが求められています。
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(引用ココまで)
福島第一原発事故で、外部電源が失われたのは、津波ではなく地震の直後でした。地震によって、送電線の鉄塔が倒壊したり、ケーブルが断線しているのです。 原発は、停止している場合でも、常に冷却を続けなければならず、外部電源の喪失で冷却が不能に至るリスクがあるのです。原発は、地震大国の日本にとって、 極めてリスクの高い発電方式ということができます。
関連リンク
外部電源喪失 揺れで設備故障
5月24日 20時27分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110524/t10013086201000.html
[地震で壊れる原発]
■女川原発2・3号機、タービンの羽根7割に損傷
■女川原発2・3号機、タービンの羽根7割に損傷
東北電力は19日、女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2、3号機で、タービンの7割の羽根に損傷が見つかったと発表した。
東日本大震災の揺れで羽根同士が接触したためとみられる。東北電力は、同原発の年内の復旧は難しいとしている。
東北電力が6月、震災の被害が大きい2、3号機でタービンを詳しく調査したところ、両機の計104枚の羽根のうち計71枚が3ミリ削れるなどの傷が見つかった。
女川原発は震災当時、2号機が定期検査中で、稼働中だった1、3号機は緊急停止した。今回の羽根の損傷の発覚で、2号機の定期検査期間が延びるほか、9月10日から定期検査に入る3号機の検査期間も延長される可能性があるという。担当者は「定期検査が平常時の3〜4か月よりも長引く」としている。
(2011年8月19日21時03分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110819-OYT1T00887.htm
被災して3ヶ月後の6月に調査して、さらに2ヶ月後の8月に発表ですか。今頃になって、やっと発表したのは、どうしてなのでしょうか。何故こんなにも遅いのでしょうか。
火力発電なら、万が一地震によって被災しても、短期間に復旧が可能です。東京電力の場合、福島第一原発事故のせいで、放射能汚染がひどい広野火力発電所でさえ、7月には復旧しました。広野火力発電所は、福島第一原発事故の現場から18km程度しか離れていません。
原発は、被災してもすぐに復旧できません。放射能の危険が常につきまとう中で、作業をしなければなりません。
いまだに、被災から復旧できない女川原発を、検査期間を延長してまでも再稼動させようとしている点も問題です。被災から短期間に復旧できない原発など、必要ありません。電力の安定供給の観点から外れています。熱効率もよく被災しても短期間に復旧できるガスタービンコンバインドサイクル発電に切り替えるべきです。
[地震で壊れる原発]
■強い横揺れで天井のパイプがずれ、大量の水が漏れてきた
■強い横揺れで天井のパイプがずれ、大量の水が漏れてきた
ずれた配管、やばい水!…原発作業員の恐怖証言
強い横揺れで天井のパイプがずれ、大量の水が漏れてきた――。
東日本巨大地震が発生した11日、東京電力福島第一原子力発電所で、稼働中だった1号機棟内にいた男性作業員の証言から、建物内が激しく損壊した様子が初めて明らかになった。
この作業員は、同原発の整備などを請け負う会社に勤務。昨夏からたびたび同原発で作業しており、地震があった11日は、稼働していた1号機の建物内のうち、放射能汚染の恐れがなく防護服を着用する必要がないエリアで、同僚数人と電機関係の作業をしていた。
「立っていられないほどの強い揺れ。横向きに振り回されている感じだった」。地震発生の午後2時46分。上階で作業用クレーンや照明などの機器がガチャンガチャンと激しくぶつかり合う音も聞こえた。「これは普通じゃない揺れだと直感した」
建物内の電気が消え、非常灯に切り替わった。「その場を動かないように」という指示が聞こえたが、天井に敷設されていた金属製の配管の継ぎ目が激しい揺れでずれ、水が勢いよく流れてきた。「これはやばい水かもしれない。逃げよう」。誰かが言うのと同時に、同僚と出口がある1階に向けて階段を駆け降りた。
建物内で漏水を発見したら、手で触ったりせず必ず報告するのがルール。だが、この時は余震が続いており、放射能に汚染されているかもしれない水の怖さより、このまま原子炉といっしょに、ここに閉じこめられてしまうのでは、という恐怖の方が強かった。
1階は作業員でごった返していた。外に出るには、作業服を着替え、被曝(ひばく)量のチェックを受けなければならないが、測定する機器は一つだけ。細い廊下は長い行列ができていた。
激しい余震はその後もさらに続き、「早くしろ」とあちこちで怒声が上がった。被曝はしていなかったが、「水素爆発した後の1号機の建物の映像をテレビで見た。あそこに閉じ込められていたかもしれないと思うと今でも足がすくむ」。(影本菜穂子)
(2011年3月16日14時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110316-OYT1T00550.htm
現場にいた作業員が、本当のことを一番よく知っています。
この記事からも、津波のせいにするのは、あきらかに間違いであることがわかります。
地震で、既に、配管がズタズタに破壊されたのです。
いくら、津波対策をやったところで、完璧な防波堤を作ることは不可能です。
いくら、地震対策をやったところで、完璧な対策を取ることは不可能です。
万が一、事故が起きても、事故が収束し復旧できることが大前提です。
収束の目処が立たない福島第一原発事故は、あきらかに異常です。
放射能を無毒化する技術もないのに、原子力を発電に使うのはリスクが高すぎます。
原子力は、リスクが高すぎるので、発電に使うべきではないということです。
原発が稼動を続ける限り、使用済核燃料のゴミが産出され続けます。
現代の科学では、再利用ができない使用済核燃料のゴミを、誰が責任をもって10万年も管理できるのでしょうか。自分さえよければ、子孫に使用済核燃料のゴミを残しても平気だとする考え方は、あまりにも罪深いことです。
地震で壊れ、収束もできない事故につながる原発、子孫に使用済核燃料のゴミを残す原発、このような原発は、使い続けるべきではありません。
原発がなくても電力は足りています。先ずは、ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)のような、万が一事故が起きても収束できる安全な発電方式に切り替えることが大切です。