放射能高汚染水の漏出に打つ手なし

世界のウランの10%を供給する世界最大級のウラン生産企業
エナジー・リソーシズ・オブ・オーストラリア社(ERA社:Energy Resources of Australia社)

同社のウラン生産拠点、ノーザンテリトリー(北部準州)のカカドゥ国立公園にあるレンジャー鉱山が閉鎖の危機に追い込まれている。地域を襲った記録的大雨 で、鉱滓ダム(こうさいダム:水分と固形分を分離するためのダム)の放射能汚染水が、これを取り巻くアボリジニー居住地や世界遺産に登録されているカカ ドゥ国立公園の湿地に溢れ出す恐れが出てきたからだ。

州都・ダーウィンから230キロ南東の鉱山には、100億リットル以上もある高濃度汚染水が閉じ込められている。カカドゥ国立公園にあと100ミリの雨が 降れば、ほとんど溢れんばかりになっている水を、立て坑に汲み出すことを余儀なくされる。雨期はまだ3週間は続く。

水を汲み出す場所としては「ピット3」とよばれる立て坑があるだけで、ここにははすでに36億リットルの水が溜まってる。重金属と放射性物質を含む水を汲み出さねばならないとすると、すべての高濃度汚染水を処理しなければならない。

しかし、処理施設は、最近になって整備をしたにもかかわらず、既存の溜まった汚染水の問題を解決する能力も持たない。この30年間、毎日約10万リットル の汚染水がダムから染み出して、カカドゥ国立公園の地下の裂け目に漏れ出し続けてきた。昨年終了した18ヵ月にもわたる調査では、水がどこへ行ったかも、 将来、環境を損傷するかどうかも確定できなかった。

アボリジニの一族であるミラル氏族(Mirarr:ミラル氏族)の指導者であるイボンヌ・マーガルラ(Yvonne Margarula)氏は、国連事務総長に手紙を書き、自分たちの土地から採掘されたウランで福島原発の事故が起きたことに関して、悲しみを表明した。こ うした理由で、ミラル氏族の人たちは、世界でもっとも開発されていないウラニウム鉱床を含むジャビルカ鉱山での採掘に反対することを決めている。

今週、ERA社の議長であるデヴィッド・クリングナー氏は、「ジャビルカ鉱山の借地をあきらめることに同意する件」について、公の場でERA社を除外した。

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ERA社は、親会社のRio Tinto社が約68.4%を出資しています。そして、日豪ウラン資源株式会社が約10.6%を出資しています。日豪ウラン資源株式会社は、関西電力 50%、九州電力25%、四国電力15%、伊藤忠商事10%の出資で作られた会社です。

カカドゥ国立公園の中には、レンジャー(Ranger)ウラン鉱山とジャビルカ(Jabiluka)ウラン鉱山の2つの鉱山があります。レンジャー鉱山で はウランの採掘が続けられてきました。ジャビルカ鉱山は、2001年に採掘が10年間凍結されました。2005年には、ERA社と原住民のアボリジニーと の間で、アボリジニーの同意無しにジャビルカ鉱山での採掘は再開しない旨の契約が締結されています。

アボリジニーの人達は、日本で福島原発の事故が起きたことも踏まえて、ジャビルカ鉱山でのウラン採掘再開には反対しています。ですがERA社は、採掘をあきらめていません。

ERA社は、1991年にジャビルカ鉱山の借地権を購入しています。一方、アボリジニーのミラル氏族は、ジャビルカ地区の恒久土地権を持っています。一見 すれば、ERA社とアボリジニーの紛争のように思えますが、ウランを調達する目的で、日豪ウラン資源株式会社も出資しているのですから、日本も他人事では ないのです。

放射能汚染水が、毎日約10万リットルもダムから漏洩しているのです。国立公園の中にあるウラン鉱山で、現在進行形で起きていることです。18ヶ月かけて も、放射能汚染水がどこへ行ってしまったのか、環境にどのようなインパクトがあるのか、わからなかったのです。

「原子力は、クリーンで安全」とは、よくもデタラメを言ったものです。原発の燃料であるウランを採掘する現場から、既にこのような放射能汚染水の問題が起 きているのです。放射能汚染水が、地下に染み出しているのに、地球環境にやさしいとかクリーンだとか、そんなウソは通用しません。


関連リンク

Radioactive threat looms in Kakadu
Lindsay Murdoch in Jabiru
April 16, 2011
http://www.smh.com.au/environment/radioactive-threat-looms-in-kakadu-20110415-1dhvw.html

Aborigines to block uranium mining after Japan disaster
By Kathy Marks in Sydney
Thursday, 14 April 2011
http://www.independent.co.uk/news/world/australasia/aborigines-to-block-uranium-mining-after-japan-disaster-2267467.html

世界最大級オーストラリアウラン鉱山がシャットダウン 放射能高汚染水の漏出に打つ手なし
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/nuclear/news/11042001.htm

オーストラリアの先住民がウラン採掘の制限を求める
http://2011shinsai.info/en/node/87

Save! Kakadu
http://savekakadu.org/

JOGMEC 金属資源情報センター
2006/07/26 報告書&レポート
平成17年度鉱業の持続可能な開発に係るステークスホルダーの動向調査
第2章 鉱業界に対するステークホルダーの要求と鉱業会の動き
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
http://mric.jogmec.go.jp/public/report/2006-07/csr_all.pdf

インド東部ジャドゴダ・ウラン鉱山の村
Village of the Uranium mine in Jadogoda INDIA
「それでも、ブッダは微笑むのか?」
核に苦しむ先住民
http://www.morizumi-pj.com/jadogoda/jadogoda.html



 

(引用ココから)
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■「原子力はCO2を出さない」のウソ

燃料のウラン採掘やウラン原鉱の製錬、ウラン濃縮、そして燃料棒の形への加工、それらの運搬など、それぞれの過程ではおびただしい量のCO2を排出している。


■原発は地球を暖め続けている

毎秒70トンもの海水が原発内に引き込まれ、吸収した熱で水温が7℃上がった状態で海に戻されるのだ。年間で計算すると、日本にある合計54基の原発は実 に約1000億トンもの“7℃温度が高い水”を海に流していることになる。日本に流れるすべての河川の一年間の流量の合計が約4000億トンといえば、 1000億トンがどれほどの量かわかるだろう。これでは、とても原子力は環境にやさしいなどとはいえない。



 『原発のウソ』 京都大学 小出先生著 より

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(引用ココまで)

「地球温暖化防止のためにCO2削減」と言われていますが、地球温暖化とCO2の因果関係は、何も証明されていません。仮にCO2が関与しているとして も、原発がクリーンだとは言えないわけです。上記のとおり、原子力はCO2を排出するし、海水の温度を7度も上げているのです。1年間に1000億トンも の海水の温度を7度も上げておいて、地球環境にやさしいとかクリーンだとか、そんなウソは通用しないのです。


関連リンク

「原発はエコ」は大ウソ
http://news.nicovideo.jp/watch/nw70751?marquee




政府が、東京電力福島第一原発の1〜3号機事故と、一九四五年の広島への原爆投下で、それぞれ大気中に飛散した放射性物質の核種ごとの試算値をまとめ、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出していたことが分かった。半減期が約三十年と長く、食品や土壌への深刻な汚染を引き起こすセシウム137の放出量を単純比較すると、福島第一原発からの放出量は広島原爆一六八・五個分に相当する。

 福島第一原発事故は今年六月の国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に対する日本政府報告書、広島原爆については「原子放射線の影響に関する国連科学委員会二〇〇〇年報告」を基に試算されている。

 セシウム137の放出量は、福島第一原発1〜3号機が一万五〇〇〇テラベクレル(テラは一兆)、広島原爆が八九テラベクレル。このほかの主な核種では、福島事故で大量に飛散したヨウ素131(半減期約八日)は、福島が一六万テラベクレル、広島が六万三〇〇〇テラベクレルで、福島は広島原爆約二・五個分。半減期が約二十八年と長く、内部被ばくの原因となるストロンチウム90が、福島が一四〇テラベクレル、広島が五八テラベクレルで、広島原爆約二・四個分となる。

 ただ、政府は特別委に対し、福島事故と広島原爆との比較自体には「原子爆弾は爆風、熱線、中性子線を放出し、大量の殺傷、破壊に至らしめるもの。放射性物質の放出量で単純に比較することは合理的ではない」と否定的な考えを示している。

 試算値は川内博史衆院科学技術・イノベーション推進特別委員長が八月九日の同委員会で「広島型原爆の何発分かを政府として正確に出してほしい」と要求していた。


(東京新聞)2011年8月25日 07時08分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011082590070800.html


原発は原爆とは異なり、爆風や熱線で人を殺傷することを目的としたものではありません。ですが、爆発事故がおきれば、大量の放射性物質をばら撒くことは共通しています。
福島第一原発の事故で、大量の放射性物質がばら撒かれています。事故から5ヶ月が経過した8月の時点でも、いまだに放射性物質の放出は続いており、収束の目処は全く立たない状況です。

国立環境研究所の2011年8月25日の発表によれば、放射性物質の影響は福島県以外に、宮城県や山形県、岩手県、関東1都6県、静岡県、山梨県、長野県、新潟県など広域に及んでいることが明らかになっています。ですが、これは3月11日から3月末ころまでの話であり、現在では放射性物質の影響は北海道から沖縄まで全ての都道府県に及んでいます。

原子力安全・保安院がまとめた資料によれば、プルトニウム239だけでも合計32億ベクレルが大気中に放出されたということです。

外部被曝よりも恐ろしいのが内部被曝です。発達した流通のおかげで、放射性物質に汚染された野菜、牛肉、腐葉土などが全国にばら撒かれました。牛肉は個体識別番号があるので追跡可能ですが、豚肉や鶏肉などは汚染されていても追跡ができず流通してしまいます。

汚い放射性物質を撒き散らし続ける原発のおかげで、健康を害する人達が増え続けることになります。泊原発のある北海道の泊村は、北海道で一番ガンによる死亡率が一番高い地域です。玄海原発のある佐賀県玄海町の白血病による死亡者は、全国平均の6〜7倍にもなります。これからは、原発がある地元の自治体だけでなく、日本全国全体で、ガンや白血病の患者が増えることが懸念されます。


福島第一原発事故で放出されたプルトニウムの量

放射性
核種
1号機 2号機 3号機 放出量の合計
Np-239 3.7×10^12乗 7.1×10^13乗 1.4×10^12乗 7.6×10^13乗 (76兆ベクレル)
Pu-238 5.8×10^8乗 1.8×10^10乗 2.5×10^8乗 1.9×10^10乗 (190億ベクレル)
Pu-239 8.6×10^7乗 3.1×10^9乗 4.0×10^7乗 3.2×10^9乗 (32億ベクレル)
Pu-240 8.8×10^7乗 3.0×10^9乗 4.0×10^7乗 3.2×10^9乗 (32億ベクレル)
Pu-241 3.5×10^10乗 1.2×10^12乗 1.6×10^10乗 1.2×10^12乗(1兆2000億ベクレル)


放射性
核種
崩壊の形式 半減期 崩壊により生成される
放射性核種
Np-239 ベータ 2.35日 Pu-239
Pu-238 アルファ 87.7年 U-234
Pu-239 アルファ 24,100年 U-235
Pu-240 アルファ 6,560年 U-236
Pu-241 ベータ 14.4年 Am-241、U-237


原発の原子炉でウラン燃料を燃焼させたとき、質量数235のウランは核分裂を起こし中性子を放出します(核分裂の確率は約83%)。

この時発生した中性子を、核分裂しないウラン238が吸収することによって、ウラン238からウラン239になります。

ウラン239が半減期23分でベータ崩壊してネプツニウム239(γ線核種)となり、さらに2.355日でベータ崩壊してプルトニウム239(α線核種)になります。

さらに、このプルトニウム239が中性子を吸収すると、プルトニウム240、241、242が生成されます。


核分裂をしなかった約17%のウラン235は、ガンマ線を放出してウラン236になります。
ウラン236は、中性子を吸収すると核分裂せずにウラン237になります。
ウラン237は、ベータ崩壊し、およそ6.8日の半減期でネプツニウム237になります。
ネプツニウム237が、さらに中性子を吸収してネプツニウム238になります。
ネプツニウム238は、ベータ崩壊し、およそ2.1日の半減期でプルトニウム238になります。


(関連リンク)

公開された資料で判明
報じられなかったプルトニウム「大量放出」の事実

2011年09月06日(火) 週刊現代
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/18245

東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び広島に投下された原子爆弾から放出された放射性物質に関する試算値について
経済産業省 平成23年8月26日(金)
http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110826010/20110826010.html



使用済み核燃料を再処理した後に残る放射能レベルの高い廃棄物が福島第一原子力発電所の事故後初めてイギリスから返還され、青森・六ヶ所村の港で15日、陸揚げが行われた。

イギリスからの輸送船「パシフィック・グリーブ」は15日午前7時前、六ヶ所村のむつ小川原港に接岸した。返還されたのは、国内の原発から出た使用済み核燃料をイギリスで再処理した後に残った放射能レベルの高い廃棄物。イギリスからの返還は去年3月に続いて2回目で、ガラスで固めた76本の固化体が3つの輸送容器に収められている。

今回は、福島第一原発事故を受けて国が原子力政策の検証を予定する中での返還となった。港の近くでは、県内外の市民団体が搬入反対を叫んでいるが、混乱は起きていない。

15日午前11時過ぎから輸送容器の陸揚げが始まり、夕方までには六ヶ所村内の施設に運び込まれる。

< 2011年9月15日 11:54 >
http://news24.jp/articles/2011/09/15/07190657.html


使用済み核燃料を再処理したところで、処理しきれない放射能レベルの高い核のゴミが残ります。どうやって10万年も管理するつもりなのでしょうか。自分さえ良ければ、子孫のことなどどうでもよいと考える人が、あまりにも罪深く愚かしい。



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