雷から身を守る

参考にしていただきたいことを書きました。





 2008年(平成20年)の落雷事故

 8月9日(土)午後1時50分頃、富士宮口6合目〜7合目登山道で、落雷直後に男性が倒れているのを近くの登山客が見つけました。男性(52才)は、心肺停止状態で病院に運ばれましたが死亡が確認されました。近くの登山客の話によると、「雷鳴がしたので、しゃがんで顔を伏せた。顔を上げたところ、前を歩いていた男性が近くで倒れていた」そうです。お亡くなりにたった方のご冥福をお祈りいたします。

静岡県では、午後から各地で雷を伴う猛烈な大雨に見舞われました。県東部や遠州南には大雨・洪水警報が発表されました。御殿場市では、午後2時までの1時間に80ミリの非常に激しい雨が降りました。こうしたなか、富士山では ひょうが降り、山頂付近は白くなりました。

 富士山における過去の落雷事故

 知りえた範囲で記載しています。
 
年月日 場所 事故の概要
2001/8/1 頂上 噴火口付近に落雷。1人が死亡。
1982/8/8 9合目 吉田口9合目で落雷。10人が負傷。
1982/8/7 5合目 5合目で落雷。1人が死亡、7人が重軽傷。

件数は少ないのですが、落雷のリスクはゼロではありません。

落雷事故は、ゴルフ場、海水浴場、農地、一般道など、時と場所を選ばず発生しています。
日常生活の場であれば、家の中、車の中、電車の中は安全です。

では、もし富士登山中に雷に遭遇した場合は、どうやって身を守ればよいのでしょうか?

 しゃがんで姿勢を低くしてください

 雷は、高い場所に落ちます。ですので、身長の低い人よりも高い人のほうが、雷に打たれる可能性は高いといえます。雷が近い場合、歩き続けるのは危険です。また、雷は、金属製、木製にかかわらず、突起物に落ちやすいと言えます。


 ●山小屋が近くにある場合

  山小屋が近くにあるなら、山小屋の中へ緊急避難するのが一番安全です。


 ●山小屋が近くに無い場合

 ・金剛杖やストックは、手放して地面に寝かせてください。
  木製、金属製にかかわらず、棒状のものや突起物を持っているのは危険です。

 ・頭より、リュックザックの上部が高い位置にあるのは危険です。
  落雷の確率が高くなるだけです。そのような場合は、リュックザックを体から外してください。

 ・両足の間隔を狭めてしゃがんでください。
  足を広げていると、落雷時に地面を流れる電流が人体に流れ込むので危険です。

 ・指で両耳穴を塞ぐ

 ・うつ伏せや仰向けで地面に寝そべってはいけません。
  落雷時に、地面を電流が流れるので危険です。地面に接する面は、両足の靴底だけにしてください。
  地面に接している面積は小さいほうがいいのです。

 ・金属製品は、危険ではありません。
  昔は、金属製の腕時計やアクセサリーなどを体から外すように習ったと思います。
  これは違います。金属部分に電流がより多く流れることで、逆に人体に流れる電流を軽減でき、
  生存率が高まります。金属製品と接している部分は 金属部分を流れる電流によって やけどをしても、
  命が助かる事のほうが大切です。


 ●標高の低い場所である場合

 ・樹木の4m以内に近づかない。
  樹木を介して被雷する危険性があります。
  吉田口や須走口で、標高が低い場所は森林地帯になるので、そのような場所で雷に遭遇することが、
  あるかもしれません。森林地帯の出口が近いなら、森林地帯から出たほうが無難です。
  すぐに抜けられないなら、大きな樹木からできるだけ離れます。大きな樹木ほど落雷の可能性が高い
  からです。しゃがんで姿勢を低くすべきこと等は上記と同様です。

 被害者の救助

 落雷で動けなくなった人が出たら

 (1)意識が無い場合は、真っ先に、脈拍と呼吸を調べます。

 (2)脈拍も呼吸も停止している場合

   ・AEDがあれば使用します。AEDが無ければ「心肺蘇生法」を直ちに実施します。

   吉田口・河口湖口の山小屋の場合は2007年にAEDが設置されました。
   近くに山小屋がある場合には、AEDを借りてください。

   ・「心肺蘇生法」
    「胸骨圧迫30回(心臓マッサージ)」 + 「人工呼吸2回」の組み合わせを繰り返します。
    胸骨圧迫(心臓マッサージ)は、100回/分くらいのスピードで行います。

    参考:総務省消防庁「心肺蘇生法の流れ」 http://www.fdma.go.jp/html/life/

    参考:総務省消防庁「心肺蘇生法の流れ」 http://www.fdma.go.jp/html/life/pdf/oukyu2_kaitei4.pdf

       日本赤十字社「心肺蘇生法」 http://www.jrc.or.jp/safety/kinkyu/airway.html

       日本赤十字社「心肺蘇生法」 http://www.jrc.or.jp/study/safety/airway/


 (3)脈拍も呼吸もあるが意識を失っている場合

   ・気道を確保します。
    喉の奥を広げて、空気を肺に通しやすくするのです。
    片手を額に当てて、もう一方の手人差し指と中指の2本をあご先に当てて、頭を後ろへのけぞらせ、
    あご先を上げるようにします。
    
   ・救急隊員の到着を待ちます。


 参考HP:あおば屋「雷の知識(落雷対策)」 http://www.aobaya.jp/chishiki.html#survival

(2008年8月10日)




富士登山−はじめての富士山
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